検索窓
今日:21 hit、昨日:1 hit、合計:116,190 hit

59 ページ19

.









「いいから、触らないで。座ってて?」


藤ヶ谷さんが割れた照明器具の硝子片を片付けながら、椅子に座って氷を手に当てている私に言う。

棚に仕舞われているグラスや食器は無事だったけれど、もう少し長く揺れていたら棚の扉が開いて、割れてしまっていたかもしれない。


硝子を片付けて、スツールに腰を下ろした藤ヶ谷さんが携帯を見ながら言った。


「…電車止まっちゃってるみたいだね。大きい地震だったし、しばらく動かないかも」

「今日のシフトに入ってる子達に、連絡しますね」


今日は高校生のアルバイトの子達が来る予定だったけれど、この状況で来させる訳にはいかなかった。


「俺がしとくから。Aちゃんはしばらく氷で冷やしてないと。火傷は最初に冷やすのが一番肝心なんだから。ね?わかった?」


はい、と小さく言うと藤ヶ谷さんは子供にするみたいに私の頭を撫でた。


.

60→←58



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (143 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
276人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。