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「楽しかったね」
これからミツの家に行くと言う凛とお店の前で別れて、藤ヶ谷さんと二人で歩く。
「…はい。すみません、ご馳走していただいて」
「どういたしまして。」
藤ヶ谷さんが言いながら、横から私の顔を覗き込むようにする。
「ねーえ。敬語やめようって言ったじゃん」
「やっぱり無理です…。」
「まあ、ゆっくり慣れてけばいっか」
そう言うと、楽しそうに鼻歌を歌い出す藤ヶ谷さんの声が綺麗で思わず聴き入る。
「歌…、上手ですね」
「そう?」
「うん。びっくりしました」
「…あ!今、“うん”って言った!」
ぱっと笑顔になってそう言うと、両手で私の顔をぎゅっと挟むようにして触れる。
「やったぁ」
ふふふっ、と嬉しそうに笑って、私の顔から手を離すとまた前を向いて歩き出した。
「……あの、藤ヶ谷さん、酔ってます?」
「酔ってないよ、全然」
「酔ってますねっ」
面白くて笑うと、藤ヶ谷さんが真面目な声になって言った。
「Aちゃんといたら、酔いたくたって酔えないよ」
何て答えたら良いのかわからなくて、はぐらかすでもなくいる藤ヶ谷さんとそのまま歩く。
そのうちに私の家の前に着くと、藤ヶ谷さんは「おやすみなさい」と、いつもみたいに笑って手を振った。
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作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時