【unei】ru. ページ10
綺麗な彼女の話。
※名前に関する捏造有
『ねえ、君。お話をしようよ』
風の吹き荒ぶ屋上で、彼女はそう笑った。
「……は?いや、良いです」
『なんで?君も此処気に入った口なんでしょ?私もそうなの!せっかくだったら仲良くしようよ』
「別に友達が欲しくて此処に来たわけじゃ、」
『君、私と同じクラスの人でしょ?見た事あるもん!私、A!君の名前は?』
「……」
『ええ〜!何処行くの〜!名乗らないなら勝手にあだ名決めちゃうからね〜!』
そんな言葉を背に屋上を後にした。
それが彼女と俺の初対面だった。
それから何度か屋上を訪れたが、何度行ってもどの時間に行っても彼女は絶対そこに居た。
今思えば、俺は教室で彼女を見た事などなかったと思う。
つまりはそういう事だ、俺と同じく、或いは俺以上に教室に居づらいのだろう。
そう思った時、なんだか親近感がわいてしまい遂には彼女の隣に腰を下ろす様になった。
その時の嬉しそうな彼女の表情、如何せん生まれてこの方女子とまともに話した事もない俺にはあまりにも刺激が強すぎた。
綺麗だなんて、口には絶対出せなかった。
『ねえ、レウ』
「なに?」
レウ、レウクラウド。彼女が俺に付けたあだ名。
最初にそう呼ばれた時なんだそのゲームのキャラにありそうな名前はと思っていたが聞いてみれば本当に彼女のすきなゲームの主人公の名前だった。
俺と同じ赤髪だかららしい、なんと安直な。
『レウはさ、すきな花とかあるの?』
「花、花かあ…考えた事ないなあ。そういうAはあるの?」
『私は百合の花がすき』
「なんで?」
『綺麗だし、良い匂いするし。なんかで見たんだけど、密閉した部屋の中に百合を敷き詰めて眠れば世界一綺麗に死ねるらしいよ。そういうの、ちょっといいなって思っちゃう』
「現実的じゃないだろ、どんだけの百合を集めなきゃいけないんだよそれ。コストかかりまくりだし効率的じゃない」
『レウ夢無さすぎ〜』
「Aは夢見すぎ」
『じゃあ、せめて自分が死ぬ時には添えて欲しいなあ』
「……一体いつの話してんの。死ぬとか、まだまだ先の話でしょ。俺ら高校生だし、」
『でも死にに来たんでしょ』
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える。(プロフ) - すいみん。さん» こんばんは、える。と申します。すいみん。様の感情を揺さぶる事が出来て、更にはだいすきと言って頂けて感無量でございます。こちらこそありがとうございます!良ければこれからも見守って頂けたら幸いです、コメントありがとうございました! (12月1日 22時) (レス) id: 984bd7bc35 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - ドチャクソに大大大好きです。最新話、号泣しました。この小説のコンセプトが好きすぎます……素敵なお話をありがとうございました……😭🙏 (12月1日 14時) (レス) id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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