私を許さないでⅢ (ページ9)

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偉大ではない僕らページ9

君は＿＿セドリックが憎いんだろ？
私が？あの人を？実の父親を？あの偉大な父親を？
何を言われたのか分からなくて眉を寄せた。
余りに突飛で筋道を無視した言葉だった。
困惑して、動揺する私を一瞥しアルバスは続けた。
その緑色の瞳が此方を真っ直ぐに射ぬくと、その煌めきを見せびらかしていた。

「君は父親を憎んでいる。見ていて直ぐにわかった。」

それはあまりに簡単で、無配慮な言い方だった。
始めは困惑でわからなかったが、この少年は人を腹立たせる天才のようだった。
ずかずかと人の心に土足で踏みいる、無配慮なひと。
そんな他人に干渉されることが嫌で、突き放す。

「貴方に私の何がわかるって言うのよ。あの人は偉大なひとよ。家族を大切にする、まるで理想のような、」

素敵な父親よ。そんな言葉はアルバスによって遮られた。
アルバスは眉を下げて、少しだけ＿＿＿ほんの申し訳程度に苦しそうな、申し訳なさそうな顔をしたがそれでも続けた。

「そんな偉大な父親を憎んでいる。そうだろう？」

眉がつり上がる。
その様子を見て彼は肩を竦めた。
恰も自分は君を理解しているような顔をした＿＿。
失礼極まりない、つんと鼻を天井に向けた様子に腹が立つ。
その、人にアドバイスをするにしては傲慢すぎる顔を見て、私は腸が煮えくり返るような気になる。同時に、母が恩のあるスネイプ教授のことを思い出した。

「ポッターという奴等は、＿無配慮で＿＿無神経で＿＿＿残忍で、＿＿鼻持ちならない＿傲慢な者だ。全く理解できないが、そういったものに限って愛だ恋だ正義だと騒がしい。下品な奴等だ。」

彼らを思い出すのも嫌だと顔を歪め、そのあまりの怒りに息も絶え絶えとなりながら彼はポッター家のことを話していた。
それが漸く理解できたような気がする。
その通りだ。

「僕もそうだからわかったんだよ。彼らは自覚がないんだ。自分が恵まれている人間だとね。
そしてそれを周りが要求する。偉大な父親を持つもの同士さ、似た者同士じゃないか。」

頭の中で何かが沸き上がる感覚が襲う。
＿＿＿＿＿プツンと何かが切れた音がした。

「＿＿＿＿＿＿＿五月蠅い！！！」

私はアルバスを突飛ばしていた。
いくら男と女といっても、クィディッチの才能には恵まれなかったアリエスとは違い、家でクィディッチをしていた私と男とはいえ父親のクィディッチの才能は受け継がれなかったアルバスとではすぐに決着がついた。
綺麗な緑色の瞳が此方を真っ直ぐに見上げていた。
そして問うのだ。
何故諦めないのだと。