私を許さないでⅢ (ページ8)

今日:7 hit、昨日:16 hit、合計:14,995 hit

スリザリンの子供たちページ8

彼女のことが嫌いだった。
彼女の家族も、好きではなかった。
近所に住む彼らはまさに“理想”で愛に溢れていた。

優しく優秀な父親。
美しく賢い貴婦人の母親。
勝ち気で生意気で、でも憎めない美しい娘。
おどおどしていてぱっとしないが箒は上手いらしい姉。

隣の芝は青く見える。

ただそれだけで、本当は羨ましかっただけだし、自分もハリーポッターのもっとも似ている息子としてちやほやされていたので強い劣等感はなかった。

それでも彼女のことは好きになれなかった。
あんなに素敵な両親がいて、不幸ぶることもなく、幸せを幸せと思っていない能天気な少女。
それが、僕の彼女の評価だった。
他人の評価なんて、一瞬で翻るのに。

「まさかハリーポッターの息子がスリザリンとはな、彼は父親に似ているともっぱらの噂だったが。」

「そう？私は思っていたけれどね。そもそも彼、お父さんに似ているかしら？」

「よく見れば別人じゃない。きっと性根も暗いに違いないわ。」

どいつもこいつも好き勝手に云ってくれる。
スリザリンにも関わらず、スリザリンではスコーピウスぐらいしか話相手はいないし、そのスコーピウスもやな噂に辟易している。
そんなスコーピウスにだって好きな人はいる。
ローズだ。

僕には全く理解できないが、あの赤毛で生意気で、頭でっかちで、鼻持ちならない、自分勝手な、正義を掲げた差別主義野郎のことが好きらしい。

僕には全く理解できないが。
だいたい、スコーピウスを人目見て何て言ったと思う？

「貴方の素晴らしい死喰い人の両親がさぞお喜びになるでしょうね！」

あいつがスコーピウスの何を知っているんだよ。
自分が正義？グリフィンドールが正義？闇祓いの親を持つから正義？
それってスリザリンと変わらないじゃないか。

「なあ、君疲れないの」

びしょ濡れの彼女にかけた言葉にしてはそっけなかったと思う。自分でもね。
でも彼女はいつも笑って、大丈夫と言うのに、最近は笑わない。

そしてその日、彼女がいつも着けている黄色のリボンが無かったことを気づかなかったのが盲点だった。

「僕が言うのもアレだけどさ、君は悔しくないわけ？スリザリンに組分けなんかされてさ。僕らって似た者同士じゃない、偉大な親の顔に泥を塗るでき損ないの子供････」

「･････そうかな？私は母がスリザリンだし、私も母も父も納得しているのよ。狡猾ではないかも知れないけれど、父もかつては偉大な血を受け継いでいたもの。」

「そうじゃないよ、君は＿＿＿＿＿

君は＿＿＿＿セドリックが憎いんだろ？