私を許さないでⅢ (ページ7)

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【番外】レムバティ女史はいつだって正しいページ7

鈴の転がるような声。
キッチリとしたレディースのスーツ。
綺麗に編み込まれた髪。
白い肌。
赤い唇。
蒼い瞳。
女性にしては高めの背。
柔らかな微笑み。

誰だって彼女のことが好きだけど僕の“好き”とは違う。

レムバティ女史は闇の魔術の防衛術の教授だ。
闇の魔術の防衛術は呪われている、と言われている通りにレムバティ女史も一年の間の任期だと皆が思っていた。
しかしレムバティ女史の授業は人気で、生徒も集中するために副顧問としてホグワーツに相変わらず勤めている。

「＿＿＿＿して中世に生まれたこの制度により、多くの貴族が人々の上に立ちました。教科書138ページを開いてください。我々が現在使っている羊皮紙ですが＿＿＿」

＿＿＿＿＿＿＿まあ、今受けているのは魔法史なんだけど。
お世辞にも面白いとは言えないバンズ先生の授業を聞き流しながら、僕は横の窓を見つめた。
ここは僕の特等席だ。
今日は生憎と飛行術はない。
コメットの安定した飛行を思い出してうずうずした。
ため息を吐きながら、何も変わらない景色を眺めて終に黒板を見ようとしたときだった。

「･･･あっ」

いた。
見つけた。

“彼女”は迷子になったらしい一年生の手をとって歩いている。
一年生の子の歩幅に合わせているらしく、ゆっくりとしたはやさだった。
いつもはきびきびと歩いているのに。

「可愛いなぁ。」

ぽろっと口をついて出た言葉に、隣のロジャー・デイビースがぎょっとした顔をして此方を向いた。
暫く此方をあり得ないようものを見たように凝視したうち、僕の視線を辿ったらしいロジャーは先程の視線とうってかわって面白いものを見たと笑みを浮かべた。
ロジャーは僕をからかおうと口を開いたが、静かなこの教室ではばれると思ったらしい。
羊皮紙のすみに文字を書き始めた。

『Missとはどこまでいったんだ？』

僕はロジャーの惚れた腫れたの話題好きに呆れながらも、自分の羊皮紙にも書いた。

『どこまでって？』

ロジャーは眉を寄せると

『勿体ぶるなよ、キスとか逢い引きとかあるだろ』

と待ち遠しそうに答えを煽る。

『で？どこまでいったんだ？』

『最後まで』

ガタンッと隣で大きな音がした。
前に座っていた(もとい寝ていた)人たちも何事かと此方を振り返る。

「嘘だろ！？セド、お前･････！？」

「Mr.デルビー、どうしました。」
さすがのバンズ先生も見過ごせなかったらしくロジャーはそのままレイブンクローに十点の減点を送った。
レイブンクロー生はロジャーを恨みこもった目で見ている。
悪いねロジャー。