私を許さないでⅢ (ページ6)

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ふざけるなページ6

＿＿＿＿でも本当はわかってるの。皆が私をどうしたいのか。私のなにが怖いのか。私だって怖いもの。自分のなかにいるアイツが目覚めることが、何よりも恐ろしい。＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿でもね、それは＿

バシャッと冷たい水が頭から降ってきた。
折角母に貰ったコンディショナーをつけたのに、と今月何回目になるかわからないバケツの音を聞いた。

「あーら、ごめんなさい！私ったら、“お掃除”しようとしていただけだったのに！わざとじゃないのよ？」

「それにとっても良く似合っていてよ。“正義の味方”さん？」

キャハキャハと母が青筋をたてそうな下品な声が廊下に響く。
彼女たちは此方をチラチラと見ては嘲笑う。
私は杖を取り出して彼女たちの首に突きつけてやりたかったが、それは“闇祓い局長の娘”がして許させるものではなかった。
すっかり水を含んだローブを引きずってあるく。
もう歩くのも面倒で、正直つらかった。
びしょ濡れの私を皆が見ていたが、誰も助けてはくれなかった。
腕の中の教科書がじっとり濡れて行くことに気がついて、空しくなった。
母が買ってくれた教科書。
父がクリスマスに贈ってくれた黄色の髪飾り。
双子の妹に押し付けられた好みじゃない本。

「････びしょびしょになっちゃったな･･」

どうしてこうなったのか、理由は明確だった。
ひとつはスリザリンに入ったということ。
例のあの人の敗北から幾ばくか経ったとはいえ、スリザリンの評判は地に落ちた。
それだけならまだいい、問題は私の父親だ。

セドリック・ディゴリーは有名人である。
肩書きからして素晴らしい。
元々は純血の良家の血筋で先祖に魔法大臣もいる。
加えて十七歳、六年生で三大魔法学校で行われたトライ・ウィザード・トーナメントで優勝、永遠的な名誉を得る。
卒業時には十二フクロウを叩きだし、第二次魔法戦争では最前線で戦う闇祓い。
現在は闇祓い局長という完全エリート。
しかもとんでもなくハンサム。
こんな妄想のような出来すぎな父親の娘とあってスリザリンはあり得なかったらしい。
父とてそれはそれは驚いていたが、

「スカーレットに似たんだね。」

と模範解答。

二つ目、不死鳥の騎士団、恨み買いすぎでは問題。
スリザリンは元死喰い人の家族も多い。
それもあって闇祓いを親にもつ生徒を毛嫌いしている。
闇祓い局長ともあれば尚更だ。

三つ目、アルバス・ポッターを突き飛ばした。