私を許さないでⅢ (ページ4)

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大人になんてページ4

私は今年で十五歳になる。
十五歳になるということは四年生になるということで、また身体が女性になっていくことを指す。
所謂思春期というものの真っ最中なのだ。
そんなことを赤い汽車に揺られながら考えていた九月始めの日の事である。

朝目が覚めて、どうしようもない孤独感に襲われた。

“完璧な私”は鏡に写っていた。
柔らかな笑みを浮かべ、此方を覗く私自身。
それ自体は変わらない。
しかし私は知っていた。
どうしてこんなにも不安なのか。

「･････また、大きくなってる･･･。」

身体の成長だ。
このところ私の身体は女性らしい丸みを帯びて、言うなれば”女“になってきている。
忌ま忌ましいこの黒髪も、青すぎる“偽者”の瞳も、我慢ができた。
次第にそれは私自身の個性となり、美しさとなったからだ。
けれど、これは嫌だ。
細い指で体を撫で、胸元へ押し上げた。
確かにある質感に思わず眉を寄せる。
歳の割には発達した胸。
弧を描く腰。
大嫌いなあいつに似てくることが嫌でたまらない。
本当は嬉しい筈なのに、素直に言えず思えない。

真っ白なシャツを着て、黒いスカートを履く。
プリーツの大きいホグワーツの制服は好きだ。
かちりと金具を合わせ、シャツを引く。
ニットを着て、スリザリンを表す緑のネクタイを首に通した。
エメラルドグリーンのフードのついたローブを着込み、品のよい黒革のローファーを履けば、出来上がり。
去年と同じサイズのシャツだからか、胸元が妙にきつい。
それに眉を寄せると、最近の悩みが増えたことに気がついた。

『･････それから君は、最近眉を寄せている気がするよ。君の悩みはわからないけれど、僕に出来ることがあったら言ってね。
PS：そんなに眉を寄せていると皺になるよ、そんな君も可愛いけれど。

君に会うのが待ちきれないセドリック・ディゴリーより。』

なんて手紙が届けられたときは思わず叫びそうになった。
ジーザス！なんて事だ！
恋人に悩みを察知されてどうするんだスカーレット･レムバティ！

いけないいけない、こんなに眉を寄せているとまた、こんな手紙が届けられるかもしれない。
今はそれどころじゃないんだから。