【3年A組】大切で、大好きでした (ページ10)

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9話ページ10

「どうしてこのクラスが人質になったのか

はいわかる人！」

先生が尋ねる。

みんなは目線を外し、誰1人答える人はいない。

「じゃあ宇佐美」

「はぁ？わかるわけないし」

強い態度の香帆ちゃん。

「わかるはずだ

よく考えて」

「皆がぶっきーに強くあたるから」

「なるほど

たしかに教師に対するリスペクトはゼロだよなあ

でもそんな理由でここまでスペクタクルな仕打ちはしないよ

ヒントは他のクラスにはなかったことだ」

先生の言葉を聞いて今朝の夢を思い出した。

澪奈…

唯月と甲斐くんがなんか言ってるけど耳に入ってこない。

久しぶりに澪奈の夢を見たのは何かお告げ的なものだったのかな。

先生が言いたいのは澪奈のこと…？

そんな事を思いながら全員出席のはずなのに誰も座っていない席を見つめていた。

見つめている時に視界に入ってきた一颯先生。

澪奈の席に座って私達に問いかける。

ふと一颯先生と目が合った。

私の考えを全てお見通しのような目で優しく微笑んだ。

「じゃあA」

『え…』

「なんで人質にするか分かるか？」

自分の中で答えが出ているのに答えられない私に一颯先生は優しく尋ねる。

お前が答えなくてはいけないものだとでもいうように。

『……澪奈…ですか？

澪奈が自殺したこと』

うつむき気味に私が言う。

声に出すと実感する、澪奈が亡くなくったことを。

「ピンポン

他のクラスにない事

それはクラスメイトを1人失った事だ」