ロマン ページ10
風は、相変わらずザワザワと髪をくすぐる。
『これって…たしか"光月"の家紋……？』
思いもよらない事実に、全身に鳥肌が立った。
──お嬢、早く逃げてください！
私はまだやることがありますゆえ、ここに残ります。さあ！早く…！！──
懐かしい記憶が蘇る。気づけば、口に彼女の名を出していた。
『……
ｴｰｽ「ん？なんか言ったか？」
『い、いや！なんでもないの！
ちょっと心当たりのある印だったからビックリして…』
ｴｰｽ「ふーん、そうか。
これからグレーターミナル行くか？」
『うん、私たちだけで行こう』
立ちあがるためにサボの頭を肩から動かすと、彼は目をさましてしまった。
『ごめん、サボ！起こしちゃった…』
ｻﾎﾞ「うーん、よく寝た！
肩貸してくれてありがとな！お蔭で快眠だった」
背伸びをしながら、彼は笑顔をこちらに向けた。
『…ねぇ、二人とも！今日は海岸行かない？』
グレイターミナルから歩いて15分ほど行ったところに小さな海岸がある。初めて"集金"に参加した時、そこに珊瑚や黄金などが打ち上げられていた。
あの時から時間が経った今なら、またお宝があるかもしれない。
ｴｰｽ・ｻﾎﾞ「いいぞ、行こう！」
＿＿＿＿＿
『うーん、今日はない…か』
見渡す限り薄茶色の砂浜が広がっている。
視界の遠くの方で、先に走っていったエースとサボがこちらに手を振っている様子が見えた。
ｴｰｽ「おーい、ちょっとこっち来てくれ！
宝の地図かもしれねェ！」
ｻﾎﾞ「バカ！
大きい声で言って他の奴に聞かれたらどうする！」
『宝の…地図！？』
久しぶりのロマンに、胸が踊った。
彼らに駆け寄り、手に収められた瓶を目つめる。どうやら一枚の古紙が詰められているようだ。
『早く！開けてみよう！！』
私の催促に、エースは素早く手を動かした。
ｴｰｽ「なんだこれ？ダカンスキー島？」
『変な名前…冬島かな？』
ｻﾎﾞ「お前ら知らねェのか？
ダカンスキー島ってあの島だよ」
彼が指さしたのは、眼前に広がる海の彼方にみえる、豆粒くらいの大きさの島。
ｻﾎﾞ「あの島、無人島の筈なのに、何故か夜な夜な人が話す声がするんだ」
『海賊がいるからじゃないの？』
ｻﾎﾞ「いや、ある季節の夜だけなんだ。
その時期なると毎晩この島にまで届くような誰かの大声がするのさ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まゆこんぶ(プロフ) - 竜胆さん» こんにちは！ありがとうございます！！続編作れたのも皆様のおかげです！！何シリーズまで続くかは分かりませんが満足のいくように終わらせます！ (2020年10月29日 21時) (
レス) id: 984aeb020d (このIDを非表示/違反報告)
竜胆 - 続編おめでとうございます！楽しみにしてました！w (2020年10月28日 19時) (レス) id: bc5f14382a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まゆこんぶ・さえこんぶ | 作成日時：2020年10月28日 13時
