元ヴィランでもヒーローになりたい (ページ35)

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その帰り道

あ「あ、食材買いたいからスーパー寄っていい？」

相「構わんが職場体験中ヘトヘトだろ

別に無理して作らなくていいぞ」

あ「そんなこと言ったら相澤先生ゼリーばっかで心配なんだもん

別に料理は苦じゃないから作るよ！

ほら早く！！」

相「分かったから引っ張るな」

グイグイと先生を引っ張ってスーパーに入ると

時間的にちょうど安くなってて思わず大量に食材を買ってしまった

相「さすがにこれは買いすぎじゃねぇのか？」

あ「うん…ちょっとね笑

でも日持ちするの多いし大丈夫でしょ！」

相「ならいいが…ほら、そっちの袋も貸せ」

さらっと重い方の袋を取って歩き出す先生

その仕草にキュンっとしながらもニヤける顔を抑えて先生の隣に並ぶ

買い物を終えスーパーを出ようとした時……

ｻﾞｧｧｧｧｰ

外は急に雨が降り出していてとても歩いて帰れる状態じゃなかった

あ「わっ！急だなー！晴れてたから傘なんて持ってないし！」

相「思ったよりどしゃぶりだな」

あ「でもここから家まで5分くらいだし傘買うのももったいないよ

走ろ！！」

相「俺はそれで構わんが…」

あ「大丈夫だよ！バカは風邪引かないって言うじゃん？」

相「…まぁそうだな」

あ「…否定してくれないんかい」

相「否定する要素がどこにある？」

あ「くっ…言い返せないのが悔しい…」

相「お、少し弱まったな。今のうちに走るか」

あ「あ、うんっ！！」

こうして雨の中私たちはスーパーを飛び出した

弱まったとは言っても結構しっかりめの雨で

食材が濡れないように抱えながら走るので非常に走りづらい

相澤先生も私の気にしながら走っていてびしょ濡れだ

これは帰ったらすぐお風呂だな…

と思いながら走っていると私はかすかに声が聞こえ足を止めた

相「A！？」

私は声が聞こえた方へ走る

電柱の横に不自然に置かれたダンボール

そこから聞こえる"声"にゆっくりと中を覗くと…

あ「！！」

小さな白猫がびしょ濡れで一生懸命鳴いていた

相「おい、急にどうした……！！」

相澤先生も猫を見て驚いた顔をする

猫は私たちが来ると

まるで助けてと言うようにさっきよりも一生懸命鳴き始めた

あ「…ひとりぼっちなの？」

私はその子を抱き上げ抱きしめる