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運び込まれた病院では、事務所のスタッフが待ち構えていて、歩いて救急車から降りた俺を見ると、安心したように微笑んだ
「大変でしたね。」
「まぁ…はい。」
北山が倒れるまでは、とっても楽しい空間でした…なんて言えるわけもなく…
曖昧に返事をしていたら、後ろを北山を乗せたストレッチャーが走り去った
相変わらず、「はぁ、はぁ」と苦しそうな呼吸を繰り返している北山
その姿をじっと見送る
「病院側には連絡してますから、とりあえず診察室入って下さい。」
「はい。…あ、…北山は…?」
「これから診察して、症状が重いようなら今日は入院させます。」
「…そうですか…。」
見上げた空は、もうすっかり日が落ちていた
スタッフに連れられ、通された診察室
事務所が頼んだんだろう
血圧などの今の状態を調べる簡単な検査と一緒に、この際だからと血液検査やレントゲンまでやらされた
「特に異常はありませんね。血圧も安定しています。けれど精神的なショックもあるでしょうから、今後何か気になる症状が出たら、また診察を受けて下さい。」
「わかりました。ありがとうございました。」
閉じ込められたショックは全くと言ってなかった
そりゃそうだ
どちらかと言うと、このトラブルを喜んでたくらいなんだから
診察室を出ると、スタッフに変わってマネージャーが俺を待っていた
「異常なし、だそうです。」
「そうですか!良かった!」
医者に言われた言葉を、そのままマネージャーに伝えて、診察室を後にする
その時、マネージャーから
「北山さん、熱が高いんで、今点滴受けてますけど、入院は必要ないみたいですよ。」
そう告げられた
「これから北山さんの所に行きますけど、一緒に行かれます?」
迷った
あの告白の事…
そして不意にしてしまったキスの事…
北山は覚えているだろうか
最後は熱で朦朧としていた北山
今後の事を考えれば、出来れば覚えていないで欲しかった
でも…
もし覚えていたなら…
北山が熱に浮かされて俺に言った言葉の数々
ほんの少し…
ほんの少しの期待が胸に残る
「…行きます。」
数秒のうちに頭を駆け巡った思い
無意識にそう答えていた
.
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作者名:MISA | 作成日時:2015年2月24日 19時