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特技は ページ3

「ただいまー…」

残業に次ぐ残業に、
心も体も疲れきって、帰宅。

『おかえりー!』

リビングから聴こえるのは、
カンタくんの声。

『遅かったね?』
「残業。」

ちょっとぶっきらぼうになってしまった。
許して、今日だけ。

そんな事を思っているのに、
出てくる言葉と声は冷たいものばかり。

「ごはんは?」
『…まだ』
「ないの?」
『………』

ソファーに座っているカンタくんに、
鞄や上着を片付けながら、問う。

『食べてくるかと思った』
「仕事でした。」
『…はい。』

ピリピリしていく雰囲気。
お互い、この空気の時は
敬語になるのが癖。

「今から、私が作るので。」

そう言い放って、キッチンへと向かう。

カンタくんが料理できないのは知っている。
食に関心があまりないことも。

でも。
私はお昼もろくに食べられず、
この時間まで仕事だったわけで。
もちろん、お腹も空いているわけで。

でも、
カンタくんだってきっと今まで
編集してたんだろうし。疲れてるだろうし。

でも。
欲をいえば、お惣菜でもなんでもいいから、
用意してくれてたらなー、なんて
ちょっと期待していたわけで。


そんな考えがぐるぐるになって。
マイナスの感情が暴れ出す。

冷蔵庫を開けるのも面倒になって、
ついには大きな溜息をつく。




『A。』

「なに?!、っ?!!」




こんな時、彼の特技を実感する。

【マイナスの感情をプラスに変える】

いつかの動画で、言ってたっけ。



『ごめんなさい。』
「………、なにが」


背中から伝わる、体温。
控えめに抱きしめる、意外と筋肉質な腕。
左の耳に直接触れる、声。

『料理、できなくて』

言葉は飾らず、素直で。




左手が私の右の頬に触れて、
カンタくんと目が合うと、
そのまま唇を奪われる。





ーーーーーーー





行動は、
とてもロマンチスト。




「……っ、、ずるい」


そう呟く私を見て。


『手伝ってもいー?』



私の隣に並んで、
ふにゃり、と笑う。

言えないけど→←一緒に



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(プロフ) - 秋ノ宮紅音さん» ご指摘いただき、ありがとうございます!!すぐに対応いたします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: b757b26083 (このIDを非表示/違反報告)
秋ノ宮紅音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年11月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - うわわ、すごく素敵なお話ですね!更新待ってます!! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 77c9f3f671 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - すごくおもしろいですね!次のお話もたのしみにしてます! (2017年9月17日 20時) (レス) id: 59969ce0cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年9月1日 9時

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