秋元詩郎に弱みを握られる女の子の話

29話 ページ29

お互い無言だったが、Aはそれに耐えられなくなり、

「あ、あの秋元さん……」

彼にそう呼びかける。













『Aちゃんって、笑うとかわいーね』

予想外の答えが帰ってきた。

すると秋元はAを壁に押さえつけ、Aの顔の横に肘を置く。


『俺には笑ってくんないの？』

「え、えっと秋元さん…あの近いです……」

顔に熱が集まっていく感覚が分かる。



綺麗な水色の目がじ……っと見つめてくる。

その目から逃れるため、目をそらす。

「あの……仕事に戻らせてください……」

そう伝えると

『…………ん、いいよ分かった』

少し考えたが、あっさり解放してくれた。










その後なんとか店に戻ったAは唯に話しかけられる。


『全然姿が見えなかったけど、どこ行ってたの？』


「あ、あ〜ちょっとお客さんがケータイ忘れていったから、急いで追いかけてた」

『なにそれウケる』

「うるへ」


とりあえず、それっぽく誤魔化しておいた。




仕事が終わり、裏で着替えている時、ふとある事に気づいた。


「あれ……今日もらった紙は……？ここのポケットにしまっておいたはずなのに……」

いくら探しても見つからない。店内に落ちてるかもと思い、見に行ったが、どこにもない。


「おかしいな〜…」



















破亜裂火のアジト前にて




『おい…秋元、お前何燃やしてんだよ、アジトに燃え移ったらどうすんだ』

『いや〜なんか燃やしたくなったので』

『なんでもいいが、アジトは燃やすなよ』

『はいはーい』



















その後家に帰ったAは


ベットに寝転がり天井をぼーっと眺めながら

(結局見つからなかったなぁ)

と不思議な気持ちで考えていた。

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