秋元詩郎に弱みを握られる女の子の話

25話 ページ25

今日もマンションから出た瞬間主婦の方々に囲まれ

『Aさん昨日、ヤクザの彼氏さんと喧嘩したって本当？』
『私も娘が見たって言ってたのよ〜本当なの？』


根掘り葉掘り聞かれるし、若い住人の方のコソコソと話す声も聞こえてくる。

『ほら、あの人だよ、ヤクザと関わってる人』
『嘘!?あの人に近づかない方がいいんじゃない？』
『機嫌損ねたら何されるか分かんないよ…』

などと根も葉もない噂を立てられる始末。
勘弁して欲しい。

Aの様な必要な時以外の外に出ない人間は今まで近所で噂になんてされる事無かったはずなのに、
この男と関わった瞬間一気に注目の的になってしまった。

そして今は平日の昼間、主婦の方々が、買い物に行く時間帯、そのせいか今も主婦の方々がコソコソと喋りながらこちらを見ている。

『うわひどいねそれ、誰？そのヤクザみたいな奴って』

「いやあの…悪いんですけど、あなたの事なんですよ」

『え、俺まだAちゃんと付き合った覚えはないけど…』

殴ってもいいだろうか

「とにかく、待ち伏せとかするのやめて下さいよ！」

不思議そうな顔でこちらを見つめている秋元をほったらかして、部屋に向かう、追いかけては来なかった。



ああは言ったが、あの男が大人しく言うことを聞くだろうか。

何処から間違えたのだろうか、
あの時路地裏に入らなかったら？
いやそもそも先輩の代わりに仕事にはいらなかったら？
あの男に狙われずに済んだのだろうか。


(私はこれからあの人とどうなるのかな……)

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