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一章『梟の告げる夜』弐 ページ12

「おぉ〜。何だかんだ呉羽も才能あるんですね」

父がいう。

「そりゃあそうじゃな。何せ呉羽は儂の孫じゃ」

ドヤ顔する祖父。

「色彩の呼吸は、見る角度によって色が変われば適性あるって事なんだよね。それじゃあ」

嬉しそうに、期待に満ちた顔をする呉羽。

「そうじゃな。お前は色彩の呼吸の継承者に相応しいかもしれんな」

優しく目を細める祖父。
今までにも最終選別を突破した弟子は数名いたのだが、ほとんど死んでしまった。
後継に悩んでいたのだ。

「良いか、呉羽。お前は今まで散っていってしまった姉弟子と兄弟子たちの思いを繋いでいくんじゃ。彼らの存在を無かったで済ませてはいかん」

指導者のきつい顔つきになりながら祖父は続ける。
孫娘だからといって、祖父は宣言通りに呉羽を優遇しなかった。他の弟子と同じように扱った。
遠慮しようとする他の弟子たちにも「対等に扱うように」という釘を指していた。

祖父は仕事に私情は挟まない。

そして全ての弟子の事を愛している。それは父も同じだった。同じ師についていた兄弟子として、父は弟妹弟子たちを大切にしていた。

「死んではならん。強くなるのだ」
「呉羽は習得スピードは遅いけれど、一度覚えれば絶対に忘れません。突き詰めなさい。自分が持てる力の全てを」

「・・・はい、頑張ります」

呉羽の手には鮮やかな色を帯びた日輪刀。
見る角度によって色が変わるその刀は、呉羽が色彩の呼吸に対して才能を持っている証だった。
たとえ少し前まで走ることさえ難しい身体だったとしても強くなれる証明。

「・・・頑張ります」

自分に言い聞かせるように、呉羽は「頑張ります」と繰り返す。
誰に対しての発言なのか誰にも分からない。

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呉羽の日輪刀の鍔は折り鶴の羽のような形をしている。
そして柄の先には折り鶴のストラップのようなものをつけた。呉羽が普通の折り紙を小さく小さく切ってそれを折ったものだ。

昔と違って呉羽は器用になっている。

時間が解決してくれるものもある。
解決してくれないものもある。

--------------------
梟が鳴いた。
さて誰に向かって、何を言っているのやら。

「・・・これで何人目だよ・・・」

男性が息を飲む。
男性の目に映るのは

池に浸かった、惨殺死体。

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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月18日 10時) (レス) id: ba1b78c8bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マドレーヌ | 作者ホームページ:http://aIKtu&souselove  
作成日時:2019年8月18日 10時

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