＊100話＊ ページ36
シヴの足の速さは、リヴァイの馬とそう変わらない。つまり、兵団でもトップクラスの速さを誇るのだ。
松明の火さえ諦めれば、シヴの速度は風のそれとなる。
こんな闇夜で、唯一の光源を失うのは惜しいけれど、それでもあたしには急く理由がある。
『シヴ、急いでくれ……っ』
頼む、どうか、間に合え。
.
戦況は、著しく悪かった。
武器のない104期生を守りながら、刻々と減っていくガスと刃を気にかけて戦う。補給の可能な普段の壁外調査とは違う、別な神経のすり減り方が体力も精神力も蝕んでいった。
頭がおかしくなりそうだと、そう考えるのはこれでもう何度目だろうか。
「新兵たちの様子を見てくる」
「ああ、頼んだ」
眉根を寄せるリーネがそう行って、私、ナナバの脇をすり抜けて塔の上部へと向かう。その背中を一瞥して、すぐに巨人へと視線を戻した。
あと少し。数台を討伐できれば、私たちの勝ちだ。
生きて、朝を迎えられる。
そう考えて、ブレードを握る手に力を込めた。自らを鼓舞するように息を吸って、塔を蹴り立とうとした。
そんな私の耳に入ったのは、こちらへ近づいてくる妙な音だった。
その音の正体は、塔の周囲に直撃した。
「！？」
「馬が、」
呟いた私の隣で、ゲルガーが息をのむ。何だ、あれは、何があった。
何故、何に、馬小屋がやられた。
混乱の中、周囲を見回す。異変はない、依然として巨人が見えるのみで、おそらく飛んで来たらしい「何か」は確認できない。
正体不明、原因不明。それが、今の私たちをどれだけ恐怖させるか。
「……まただ、この音！」
頭上から、リーネの焦った声が聞こえる。聞きなれない、さっきと同じ音が耳をかすめた。
それは、果たして塔に直撃した。
「リーネ！ヘニング！」
凄まじい音を立てて、塔上部が崩れて行く。落下して行く破片に混じって、空を舞う２つのシルエットが見えた。
リーネとヘニングが、無抵抗に投げ出された。
.
凄まじい音がした。
見れば、月明かりで照らされたすぐそこのウトガルド城(と思われる塔)に、巨大な岩のようなものが飛来していた。
破片が落ち、何かの咆哮が聞こえる。
シヴは足を止めない。目の前に一本、巨大な針葉樹が見えた。妙なほどによく視える、松明１つないのに。
『シヴ、あの木を越えたら降りる。木の下で待って、呼んだら来い。……わかるな？』
シヴは聡い。きっとあたしの言葉も理解している。
そしてあたしは、飛び降りた。
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moe(プロフ) - すごいおもしろいです！これからも楽しみにしてます！ (2018年1月3日 16時) (
レス) id: 0b0aeb7aa1 (このIDを非表示/違反報告)
すす - 今日見終わったところです！！続き楽しみに待ってます!頑張ってください!! (2017年6月26日 17時) (レス) id: cf9dcfd629 (このIDを非表示/違反報告)
奏照(プロフ) - リヴァイとエルヴィン団長がカッコよすぎて、もう、ふぉぉぉぉってなりました。続きを楽しみにしています。頑張ってください！ (2017年6月13日 22時) (レス) id: ba2980cdc4 (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - 小雪さん» コメントありがとうございます！更新・返信が遅くなって申し訳ないです。かっこよく書けているでしょうか！？鼻血が出るほどならば光栄です（笑）応援感謝します、頑張りますね！！ (2017年6月9日 12時) (レス) id: 8cdc93238d (このIDを非表示/違反報告)
小雪(プロフ) - 早く続きが見たいです！リヴァイ兵長、カッコよすぎです〜(*￣ii￣)ﾊﾅｼﾞﾌﾞｫｫｫ頑張ってください！待ってます！ (2017年4月28日 15時) (レス) id: 95291f7930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐれーとまっくすな手毬。
| 作者ホームページ：＼(゜ロ＼)ココハドコ? (／ロ゜)／アタシハダアレ?
作成日時：2017年2月20日 23時
