＊75話＊ ページ11
エレンの動きが止まった。
女型の巨人に際限なく殴られ、建物にもたれるように倒れこんだまま、走り行く女型を追うこともできない。
「チッ……女型を追え！」
私、ハンジ・ゾエがやむなく出した指示で、団員が一斉に女型の方向へ飛び立つ。
そこいらの兵士では太刀打ちできないことはわかっている、けれど、ここで女型を逃すわけにはいかなかった。
エレンがもう使い物にならないのだとしたら、早々に切り捨ててでも次の作戦へ移る必要がある。
.
俺は
巨人を
殺す。
……一匹残らず！
.
唐突に、それは響いた。
動かなかったはずのエレンが、猛スピードで女型へと突進していく。その走りは猛獣のそれで、女型を「仕留める」ことだけに重点を置いたような。
言うなれば、狂気そのもの。
エレンの巨人体は赤く上気し、その瞳はらんらんと輝く。響いたのは、そんな彼の吠える声だった。
「エレン！」
「よせ！」
ミカサが近づこうとしていたのが目に入って、慌てて止めた。
「今のエレンがお前を認識できるかどうか……」
「っ、」
瞳を揺らがせたミカサが、不安そうにエレンと女型を見やる。
女型を腕でとらえたエレンが、その顔を握りつぶさんとしていた。女型も突然の事態に対処できないのか、ただうなじを守るばかりでまともに戦えていない。
ここへきての急激な形勢逆転。だが、捕獲できるかは、エレンが自我を保てているかどうかで決まる。
「アニ！！」
その時聞こえた悲痛な声。それには聞き覚えがあった。
声の方向を目で追えば、さっき見た老婆が、民家の屋根の上をフラフラと壁の方へ歩いていくのが見えた。
「壁を登りな！早く！！」
「何だ、あの老婆……」
焦燥感丸出しの声が、唸るエレンの声と重なる。周りの団員も、老婆の存在に気づき始めていた。
その声に応えるように、女型がエレンを蹴り飛ばす。自らの指先を硬化させ壁へ飛び移ると、爪を立てるようにして登っていく。
「あいつ壁を！」
「乗り越える気か！？」
慌てて飛びかかろうとすれば、エレンが女型の右脚をつかんだ。そのまま噛み付くエレンを、女型は脚がちぎれるのも構わず蹴落とす。
「アニ、アニ！！」
しきりに名前を呼ぶ老婆の後ろに、背丈の低い影が、ゆらりと立つのが見えた。
Aだ。
右腕を力なく垂らして、血にぬれた頭をもたげて。鋭い目つきで左手に拳銃を構えている。
その銃口は、確実にその老婆へ向けられていた。
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moe(プロフ) - すごいおもしろいです！これからも楽しみにしてます！ (2018年1月3日 16時) (
レス) id: 0b0aeb7aa1 (このIDを非表示/違反報告)
すす - 今日見終わったところです！！続き楽しみに待ってます!頑張ってください!! (2017年6月26日 17時) (レス) id: cf9dcfd629 (このIDを非表示/違反報告)
奏照(プロフ) - リヴァイとエルヴィン団長がカッコよすぎて、もう、ふぉぉぉぉってなりました。続きを楽しみにしています。頑張ってください！ (2017年6月13日 22時) (レス) id: ba2980cdc4 (このIDを非表示/違反報告)
ぐれーとまっくすな手毬。(プロフ) - 小雪さん» コメントありがとうございます！更新・返信が遅くなって申し訳ないです。かっこよく書けているでしょうか！？鼻血が出るほどならば光栄です（笑）応援感謝します、頑張りますね！！ (2017年6月9日 12時) (レス) id: 8cdc93238d (このIDを非表示/違反報告)
小雪(プロフ) - 早く続きが見たいです！リヴァイ兵長、カッコよすぎです〜(*￣ii￣)ﾊﾅｼﾞﾌﾞｫｫｫ頑張ってください！待ってます！ (2017年4月28日 15時) (レス) id: 95291f7930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐれーとまっくすな手毬。
| 作者ホームページ：＼(゜ロ＼)ココハドコ? (／ロ゜)／アタシハダアレ?
作成日時：2017年2月20日 23時
