検索窓
今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:56,001 hit

第12話 嫌悪 ページ14

ユーリが滑り終わり、ヴィクトルがアドバイスを出す。





(あの2人が並ぶと髪の色の鮮やかさが際立って、別世界みたいだ。)







羨ましがっていると、すかさず考えを中断させられた。









「A!



ユリオのアガペーどうだった?」








海のように穏やかな青色がこちらを見る。








「うーん。




アガペー・・・無償の愛についての想いが浅いね。









ヴィーチャの言うように、無償の愛が当てはまる具体的な対象を見つけてみなよ。




見つからなければ、テレビとか本を読んだらどうかな?





登場人物に当てはめても、考えを深めることができるからね。」






なるほど、とユーリが頷く。




「あの、Aくんはいつもそうして役作りをしているの?」







「ああ。






僕は、役を身近に感じることができれば、演技のできも自ずとよくなると思ってるよ。」









朗らかな雰囲気で勇利と話す一方、感情が表に出ないように奥歯を噛みしめる。







(身近に感じられない、いや、役のもつ感情が分からないからこそ、僕はあの役になれない。





それに、心のどこかで、なりたくないとさえ思っている。)









自分の不甲斐なさが憎い。




自分の勝手さが憎い。








自己嫌悪でどうにかなってしまいそうだ。









(それにしても、どうしてリチェはあの役に決めたのだろう。






僕が演じられないのを知っているだろうに。)







まさか僕への嫌がらせだろうか、と考えていると、いつの間にか勇利が滑っている。









情熱が垣間見える瞳





ひと時の執着





息がつまるような熱烈なアプローチ





思いの丈を伝える指先









(あれは、性 的な愛。









・・・エロスか。)









それを認識すると同時に、頭を殴られたような衝撃を受けた。









(ああ・・・やっぱり。





まだダメだ。)







胃の中が逆流するような気持ち悪さに、思わず手で口を抑える。








揺れる視界の中でも、勇利の演技が鮮明に見えた。









(はやく、早く終わってくれ。)









壁にもたれかかり、それだけを願った。

第13話 誘惑→←第11話 意思



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
215人がお気に入り
設定タグ:ユーリ!!!onICE , YOI , 男主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

るろまる(プロフ) - フィーアさん、コメントありがとうございます。ノンビリですが更新していきたいと思っています! 感想、とても嬉しかったです! (2017年1月12日 12時) (レス) id: 6d0c896ab0 (このIDを非表示/違反報告)
フィーア - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!! (2017年1月9日 17時) (レス) id: 65845fd388 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:るろまる | 作成日時:2016年12月11日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。