#0812

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『ねぇ、A知ってる？！』

「なにぃ？」




授業がひと段落したお昼休み。
食堂まで友達のあゆみが息を切らして走ってきた。





あ『呑気にご飯なんて食べてないで聞いてよ！笑』

「なに、どーしたの？」





その姿がなんだか可愛くて、ふふと笑いながら我が大学の一番人気オムライスをまた一口ほうばった。





あ『えいちゃんが昨日この近所に出没したらしい！！』

「えいちゃん…？誰ぇ？」





とろとろ卵がたまらなく美味しい。
デミグラスソースとの相性はバッチリだ。





ちょっとは真面目に聞いてよ！って私に呆れながら、あゆみはほら、これ！っと私に携帯を見せてくれた。




あ『アバンティーズ！しかもエイジ！！』





差し出された携帯から私の目に飛び込んできたのは、どこか見覚えのある顔。
そう、昨日の絡んできた男の子たちと…





その人達の真ん中で笑う赤髪の彼だった。





「ど、どれがエイジくん…？」





私は平然を装うようにあゆみに問いかける。
まさか赤髪の彼がエイジくんとやらでは…





あ『A本当に知らないの？結構有名なyoutuberよ？…ほら、赤い髪の。』





エイジくんでした。





だからあんなに男の子達が騒いでたのか。
私ってば何も知らなかった事がなんだか恥ずかしくなった。





あ『私はそらちぃ推しなんだけど、えいちゃんもいいよね。私の友達がえいちゃん推しなんだけど、好きになったら抜け出せない沼みたいだって(笑)』





あー私も一度でいいからアバンティーズと遭遇してみたい！なんてキャーキャー言ってるあゆみの前で、バイト先で会えるなんて口が裂けてもいえなかった。








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