Time to go nightｰnight【2PM短編集】

初恋の行方6＊Junho story＊under ページ27

ジュノの口許があまりにも可愛く笑っていたから。

『ジュノ、何でそんなに微笑ってるの!?』

ジュノの両手は私の頬を包んだままで、今度は額と額がコツンと優しく重なる。

『ん!?A、気付いてないのな。わかんない!?お前が微笑ってるから、俺も微笑ってるんだよ』


ねぇ。ジュノ。
それって。


それって。
自惚れても良いの!?


私と同じくらい、ジュノも私のことが好きだって。

そう受け取って良いの!?


声に出せないまま、ジュノの瞳を至近距離で覗きこめば。


『俺、幸せだから、微笑ってる』


そう言ったジュノは、もう一度私の唇にキスを落とし、細い目を更に細めた。









さっき一人で必死に走ってきたこの道を。
今は二人で肩を並べてゆっくりと歩いている。


暗い夜道が怖くないのは。
ジュノが隣に居るからじゃない。
彼の心が側にあると知ったから。


時折触れる肩が互いの温度を伝えるから。
繋ぐ手など必要なく。


感じ取れる相手の鼓動に語りかければ。
言葉すら必要なかった。




私が探していた出口。

それは。

新しい次へと続く入口だった。





ジュノの車が見えてくる。

もう少し二人で歩いていたい、そんな想いが胸に残る中、ジュノを見れば。


ジュノは静かに足を止めた。





『俺、お前を送っていくつもりないから』


どういうことか聞く前に、ジュノは先を続けた。


『今夜。お前を連れて帰るよ。だから、送らない』



車の助手席のドアをジュノが開けた。
やっぱりジュノは狡い。
言葉では私を連れ帰ると言いながら。

結局、私に選択を強いる。

そんな駆け引き。
私には出来るはずもなかった。


私はジュノの車に乗り込み、自らシートベルトを付けた。


『ジュノ、サングラスは!?』


『要らない』


走り出した車の中で私はジュノの横顔だけをただ見ていた。








『散らかってるけど、入れよ』

ジュノはさっさと奥へと姿を消していく。

そんな中私はジュノの靴の隣に靴を並べた。
隙間がないように、ぴったりと。


『俺、シャワー行くから。適当にしてろよ!?』


声を頼りに先へと進み、見えてきたリビングに置かれた黒いソファに腰掛けた。



当たり前だけど。
部屋中がジュノで溢れていて。
それだけで目頭が熱くて堪らなかった。




気が付けば、ジュノはシャワーを終えていた。

艶かしく濡れた髪の毛が、目許をわざと少しだけ隠し。

初めて嗅ぐジュノの薫りが目眩を起こさせる。



『シャワーが終わったら、寝室に来いよ』

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