初恋の行方5*Junho story*under ページ26
狡いよ、ジュノ。
狡すぎるよ。
ジュノの紡ぐその真っ直ぐな言葉の一つ一つが。
私の逃げ道を一つまた一つと奪っていく。
逃げても逃げても逃げられなかったこの10年間。
ずっと苦しかったのに。
今また私は。
これ以上苦しむとわかっていながら、再び貴方を愛する道を選んでしまいそうで。
ジュノ。
ジュノ。
ジュノ。
酷い男。
それでも嫌いになれないのは。
やっぱり私が。
ジュノ。
貴方を好きだから。
ねぇ。ジュノ。
私はどうしたらいいの!?
『なぁ。A。俺さ、これでもお前を捕まえたくて、必死で走ってきたんだ。だからサングラスもしてないし、髪もボサボサで…』
さっきまで私をきつく抱き締めていた腕が緩くとかれ、私の体は優しくもう一度ジュノに抱き竦められた。
体は優しく抱き締められたのに、心は強く掻き抱かれ。
自分の身体全てがジュノで包まれていくのを感じながら、聞こえてくるジュノの心の声に耳を傾ける。
『お前が今の俺と同じ気持ちなら、俺を今すぐ抱き締めろよ。それから、もう俺から逃げないって、そう約束して。そして二度と俺から離れるな…』
最後までジュノが言い終わるより先に、私は振り返り。
抱き締めることなど出来ないと思っていたジュノの広い背中を抱き締めた。
そして私達を好奇の眼差しで見つめてくる野次馬からジュノを守るようにして、ジュノの首に片手を回し自分に引き寄せる。
ジュノ。
ジュノ。
ジュノ。
私。ジュノが好き。
好きで好きで。
きっとあの頃より、もっと好きになってる。
だから、どうしたってこの恋を終わりになんて出来ない。
ジュノのパーマのかかった茶色に染められた柔らかい髪が、私の首筋に甘く埋められたまま。
あの日言えなかった言葉を。
遂に貴方に伝えるよ。
『好き』
この一言を伝えるためにかかったあの長く苦しい歳月が。
今ようやく報われた気がした。
『俺も、Aが好きなんだ。好きなんだよ。誰と付き合っても、結局お前を捜してた気がするんだ』
最低だよな…。
そう小さく自嘲気味に呟いたジュノは。
私の首筋に埋めていた頭をゆっくりと起こし、目線を私に合わせるようにして腰を屈めた。
それからジュノの綺麗な指が私の両頬にそっと添えられ。
初めて互いの揺れる瞳を見つめあった私達は。
出会ったあの日のような、軽くて淡いだけの優しいキスを交わした。
そして。
離れたジュノの口許は可愛く笑っていた。
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エイジ(プロフ) - 月花さん» お返事遅くなりましてすみません。オーラスから未だ感情が上手く整理出来ずにいます。ひたすらテギョン一色で書き綴った一話でしたが、しがないオクッパの心の内をさらけ出してしまいました。私が次にテギョンに会えるのはドーム。この目にしかと彼を焼き付けてきます。 (2016年7月17日 1時) (レス) id: d1cda00c22 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 久しぶりにエイジさんのお話が読めて嬉しいのと、このお話はテクペンのエイジさんだからこそのお話だなぁと思いました。その距離も関係性も分かってはいるけど、時折辛くなりますよね。店員さんが何を言ったのかが、気になります。切ないけど素敵なお話有難うございます (2016年6月2日 16時) (レス) id: 2db226cba0 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - じゅんたさん» コメントありがとうございます(*^^*)余りにおひさしぶりの更新ですみません。まだまだ、書きたい気持ちはたくさんですので、のんびりとお付き合いいただけると嬉しいです!! (2015年12月2日 18時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
じゅんた(プロフ) - 久しぶりのエイジWorld堪能しました。ありがとうございます(人´∀`) (2015年12月2日 6時) (レス) id: 017662d541 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - りえぞうさん» コメントありがとうございます。嬉しいです、オクッパ同士ですね♪これからも、テギョン溺愛で行きますので、また遊びに来てくださいね!!私も、初めまして♪こんばんは♪(*^^*) (2015年8月16日 23時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エイジ | 作成日時:2015年6月7日 22時