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-side of Eiji-
彼女はそらのことを、好きじゃないと言った。
それだけで心底ホッとしている自分がいるのは、心のどこかであいつには勝てねえと思ってたからだと思う。
「一本ちょーだい」
ベランダで一服していると、やってきたそら。自分のタバコがあるくせに、喧嘩したあととかはよくこうして俺と同じ銘柄を吸いたがる。まぁ今日は完全に俺が悪かったから喧嘩ってわけじゃないんだけど。
黙ってタバコとライターを渡すと、さんきゅ、とちょっとだけ口角を上げたそらがやけに大人っぽく見えて、ずっと一緒でずっと同じガキだと思っていた相棒は実は随分と大人びているんじゃないかと不安になる。
そういえば、そらは最近怒らなくなったな。
俺たちが喧嘩をするなんて日常茶飯事で、特に2年くらい前はひどかった。自由奔放なそらと頑固な俺はよくぶつかりあった。その喧嘩もまぁひどくてお互いに口が悪いからりっくんやみっくんが止めに入るほどひどい言い合いや掴み合いをしたこともある。
それでも次の日になれば、そらがこうして俺のとこへやってきて「一本ちょーだい」って言うんだ。
ごめんね、とかそう言うのを伝えるには近すぎてお互いに照れくさくって言えない。でもいつしかこうして一緒に一服することが仲直りになっていった。そう決めたわけじゃないけど、きっとそらも同じことを思っていると思う。
「…そらってさ」
「うん？」
「最近怒らなくなったよね」
「そうか？俺普通に怒ってるよ？」
「いや怒らなくなったよ」
「そうかなぁ。ムカつく時もあるけどな普通に」
「でも俺に怒らなくなったじゃん」
「あぁそれは」
お前にムカついてないからだよ。
当たり前じゃん、とでも言いたげな表情でそらが言う。
「昔はさぁ俺も意地はってたし、どこかで張り合ってた部分もあったからすぐ感情的になっちゃってたってのはある」
ふう、とそらが吐いた紫煙をぼんやりと眺めていた。
「でも今はムカつかなくなった。なんでかわかんないけど(笑)」
いつまでも一緒の悪ガキだと思っていたのに、いつのまにかガキなのは俺だけになってたのかな。そらはいつのまにこんな顔をするようになったんだろう。
「勝手に大人になんなよ」
ベランダの柵に突っ伏して聞こえるか聞こえないかくらいの声でそういうと、タバコの灰が宙を舞って地面に落ちた。
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月海(gekka)(プロフ) - ファンさん» こちらこそ、ステキなコメントをありがとうございます。リアルさと分かりやすさを意識して書いていたので、それが伝わったようでとても嬉しいです。愛の深い方だなんて恐縮ですが、これからもそんな作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします (2019年4月15日 7時) (
レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
ファン - おつかれさまでした！描写がお上手で、みんなの表情とか動きが鮮明に想像できて、読んでて本当に幸せでした。あとがき読みましたけど、月海さんこそ愛の深い方だなと、それにそれを表現する力をお持ちの方だなと感じます。。！ステキな作品をありがとうございました！ (2019年4月14日 10時) (レス) id: 48cd0ac296 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - いずさん» お返事遅くなってしまいすみません！イメージしやすいような文章を意識しているので、読みやすいと言っていただけてとても嬉しいです！もう少しで終わってしまいますが、最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月24日 22時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
いず - 月海(gekka)さん» ストーリーの書き方など、とても読みやすくて夢中になっちゃいます。これからも更新楽しみに待ってます！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 50d70a4755 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - まっ茶さん» ありがとうございます。最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月21日 13時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月海 | 作成日時：2019年3月4日 18時
