３３(最終話) ページ33
「この扉の向こうにはみんないるんだよね」
「ほとんどYouTuberだけどね」
「やっぱ緊張する…！」
「披露宴でも絶対同じこと言ってる(笑)」
「言わな………言うかな」
「言うよ」
「言うよね」
「うん」
「…えいちゃん」
「ん？」
「なんか、不思議な感じするよね」
「なにー急に？(笑)」
「あれから6年経ったんだなって」
「ああ、うん。早いよね。俺らももう28だよ」
「老けたよね」
「老けたね」
「やばい、ほんとに緊張する」
「大丈夫だって。歩くだけだよ？難しくないじゃん」
「そんな風に思えるえいちゃんが羨ましいよ」
「ふふ、A顔が(笑)緊張しすぎ(笑)」
「あと数分こうして待たないとだめなのか…。心臓持つかな」
「俺さぁ、式終わったら髪の毛染めよっかなって」
「急だね(笑)何色にするの？」
「黒」
「え？なんで？」
「いや、なんか年齢的にもだし、結婚したら落ち着いた方がいいかなって」
「えいちゃんほんと丸くなったよね」
「そう？」
「そうだよ。昔なら俺は何言われようと変えねえ！って言ってたよ」
「それ俺の真似？(笑)」
「うん。似てたでしょ」
「俺そんななの？(笑)」
「そうだよ(笑)…まぁでも。私は赤のままでいて欲しいなぁ」
「なんで？」
「その色似合うのえいちゃんだけだもん」
「そんな理由？(笑)」
「あと、赤はえいちゃんの赤だから。なくなっちゃうと寂しい」
「…まぁそうだね。情熱の赤だからね」
「違うよ、ハートの赤だよ」
「ハートの赤？」
「そう」
愛情で溢れるえいちゃんの、ハートの赤。
ついにその時がやってきて、扉が開けられる数秒前。
いつのまにか緊張もほぐれていた彼女は、今このお腹に宿る新しい命のことを、どのタイミングで言ってやろうかと口元を緩ませていた。
-fin-
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月海(gekka)(プロフ) - ファンさん» こちらこそ、ステキなコメントをありがとうございます。リアルさと分かりやすさを意識して書いていたので、それが伝わったようでとても嬉しいです。愛の深い方だなんて恐縮ですが、これからもそんな作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします (2019年4月15日 7時) (
レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
ファン - おつかれさまでした！描写がお上手で、みんなの表情とか動きが鮮明に想像できて、読んでて本当に幸せでした。あとがき読みましたけど、月海さんこそ愛の深い方だなと、それにそれを表現する力をお持ちの方だなと感じます。。！ステキな作品をありがとうございました！ (2019年4月14日 10時) (レス) id: 48cd0ac296 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - いずさん» お返事遅くなってしまいすみません！イメージしやすいような文章を意識しているので、読みやすいと言っていただけてとても嬉しいです！もう少しで終わってしまいますが、最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月24日 22時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
いず - 月海(gekka)さん» ストーリーの書き方など、とても読みやすくて夢中になっちゃいます。これからも更新楽しみに待ってます！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 50d70a4755 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - まっ茶さん» ありがとうございます。最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月21日 13時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月海 | 作成日時：2019年3月4日 18時
