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「Aに言った」
タバコに火をつけて開口一番、えいちゃんが言った。
「え、告ったってこと？」
「うん」
恥ずかしそうににやにやと口角を上げるえいちゃんを見て、つられて俺もにやにやしてしまう。
「で、結果は？」
ここには2人だけなのに、なんなら別に他の奴らに内緒とかでもないのに、なぜか俺は小声になってえいちゃんに詰め寄った。えいちゃんは、ふう、と煙を吐いて「まぁ…、うん。想像に任せる」とニヤニヤ顔で俺を見下ろす。
「おい、そういうのナシだろ！ちゃんと言えよ！(笑)」
「……振られた」
「えっ」
「お前のことが好きだって」
「…マジ？」
「マジ」
えいちゃんのマジトーン。さ、と血の気が引いたのがわかる。あれほどまでに実ってほしいと願っていたえいちゃんの恋が、俺のせいで…。
「別にそらが悪いとかじゃないから」
えいちゃんは笑ってそう言ったけど、そこからタバコを吸いきるまでの数分間、俺たちは無言だった。
「ま、嘘だけどね」
「…は？」
「アイツ、俺のカノジョ」
じゅ、と灰皿にタバコを押し付けたえいちゃんが変な顔でそう言うと、逃げるようにベランダを後にする。
…やられた。
「てめえ！！！！！」
慌てて俺も火を消すと、その憎らしい背中を追いかけた。
大声で笑いながら部屋を駆け回るえいちゃんと、半分本気で怒りながら追いかける俺。
何も知らないAたちは、またいつものが始まったと言わんばかりにそれを華麗にスルー。
えいちゃんなりに、俺には一番に伝えようとしてくれたんだろう。素直にいうのは恥ずかしいし、面白くないから、わざと変な嘘ついたんだろう。
分かってるよ。言わなくても分かるよそれぐらい。
けど…、
「ぜってー許さねえかんな！エイジてめぇ！(笑)」
あー、こんなに幸せな嘘は後にも先にもないだろうな。むかつくからえいちゃんには絶対言ってやんない。幸せそうな顔しやがって。
俺は心のそこからおめでとうの意味を込めて、思い切りえいちゃんに飛びかかった。
そして、ものの数秒で俺がやられたのは言うまでもない。
-side of Soraci end-
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月海(gekka)(プロフ) - ファンさん» こちらこそ、ステキなコメントをありがとうございます。リアルさと分かりやすさを意識して書いていたので、それが伝わったようでとても嬉しいです。愛の深い方だなんて恐縮ですが、これからもそんな作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします (2019年4月15日 7時) (
レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
ファン - おつかれさまでした！描写がお上手で、みんなの表情とか動きが鮮明に想像できて、読んでて本当に幸せでした。あとがき読みましたけど、月海さんこそ愛の深い方だなと、それにそれを表現する力をお持ちの方だなと感じます。。！ステキな作品をありがとうございました！ (2019年4月14日 10時) (レス) id: 48cd0ac296 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - いずさん» お返事遅くなってしまいすみません！イメージしやすいような文章を意識しているので、読みやすいと言っていただけてとても嬉しいです！もう少しで終わってしまいますが、最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月24日 22時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
いず - 月海(gekka)さん» ストーリーの書き方など、とても読みやすくて夢中になっちゃいます。これからも更新楽しみに待ってます！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 50d70a4755 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - まっ茶さん» ありがとうございます。最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月21日 13時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月海 | 作成日時：2019年3月4日 18時
