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「俺、異性の友達の中で、ずっとAだけは特別だったんだよね。幼馴染だから」
「うん、」
「一番一緒にいて楽しいし、楽だし、かっこつけなくていいっていうか。Aがいつも自然体だから俺もそうなってたんだと思う」
「うん、」
どれくらい歩いただろうか。目の前に小さな公園が見えてきて、私たちは何も言わずともそこへ向かって、ブランコに腰掛けた。
「あの夜の話、してもいい？」
キィ、と古びた鉄が擦れる音がして、えいちゃんが私を見る。私の記憶がない部分。あの朝えいちゃんが飲み込んだ言葉。何か言いたげだったあの表情の真相を聞く覚悟を決めて頷いた。
「うん。聞かせて」
手を繋いだこと。私が言った言葉。ごめんね、と言ってキスしたこと。泣いてたこと。
全てをえいちゃんから聞いた時、なぜかは分からないけれど、自然と涙がこぼれ落ちた。
「なんで泣くの(笑)」
「わかんない、けど、ごめん…、ごめんね」
えいちゃんは「泣き顔めっちゃブスだよ」ってニヤニヤしながらパーカーの袖で優しく私の涙を拭ってくれる。言葉とは裏腹にいつもその手は優しくて、私はえいちゃんのそういうところに惹かれていったのかな。
「…まぁ、もう随分前の話になるけどさ。いつのまにか俺の中でAはただの幼馴染じゃなくなってて」
好きな女の子になってた。
「だから、俺、好きって言いたくて。Aに」
えいちゃんは私の顔を見て、それから視線を外すと、照れ臭そうに笑って前髪を触った。
「昨日、Aに好きって言われた気がしてさ。なんか、あ、俺も言わなきゃって思ったんだよね(笑)今まで色々考え過ぎてたなって」
だから今日、ちゃんと言おうって。
「ねえ〜泣いてるじゃん(笑)」
「だ、だってっ…、」
「それどっちの涙なの？(笑)」
「…っ、う、嬉しい方、」
私の顔を除き込んだえいちゃんが、ふふ、って笑った。
「えいちゃん、」
「なに？」
「好きって言ったの、夢じゃないよ。私、」
「…あ。待って」
「…？」
「俺から言いたい」
涙を拭う私の手を優しく握って、
「好き」
って、言ったその顔は照れくさいのか少しだけにやにやしていて、あぁえいちゃんらしいな、私の大好きなえいちゃんの顔だ、なんて考えながら見つめていた。
「私も、えいちゃんが好き」
えいちゃんは「知ってる」って言って笑った。
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月海(gekka)(プロフ) - ファンさん» こちらこそ、ステキなコメントをありがとうございます。リアルさと分かりやすさを意識して書いていたので、それが伝わったようでとても嬉しいです。愛の深い方だなんて恐縮ですが、これからもそんな作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします (2019年4月15日 7時) (
レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
ファン - おつかれさまでした！描写がお上手で、みんなの表情とか動きが鮮明に想像できて、読んでて本当に幸せでした。あとがき読みましたけど、月海さんこそ愛の深い方だなと、それにそれを表現する力をお持ちの方だなと感じます。。！ステキな作品をありがとうございました！ (2019年4月14日 10時) (レス) id: 48cd0ac296 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - いずさん» お返事遅くなってしまいすみません！イメージしやすいような文章を意識しているので、読みやすいと言っていただけてとても嬉しいです！もう少しで終わってしまいますが、最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月24日 22時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
いず - 月海(gekka)さん» ストーリーの書き方など、とても読みやすくて夢中になっちゃいます。これからも更新楽しみに待ってます！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 50d70a4755 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - まっ茶さん» ありがとうございます。最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月21日 13時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月海 | 作成日時：2019年3月4日 18時
