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-side of Eiji-
久しぶりに泥酔したのは、Aと2人で遊ぶのが久しぶりでちょっと緊張していたから。
ついついお酒を飲み過ぎてしまった。
酔っ払ったら大抵記憶は無くなるタイプだけど、昨夜のことはかなり鮮明に覚えている。
3軒目を出た頃、すでに時間は深夜の2時を回っていた。カラオケに行きたがるAと、それを嫌がり続ける俺は酔っ払ってゲラゲラと笑いながら、ふらふらと夜の街を歩いていた。
「えいちゃん」
ふいに彼女が俺の名前を呼んだ。彼女にその名で呼ばれるのが好きだった俺は、酒の力も相まってひどくのろけた顔をしていたと思う。
「手繋ご」
それは小学生のような口ぶりで、彼女は俺に手を差し出した。俺は迷うことなくその手をぎゅっと握って「手汗やば」と照れ隠しで笑った。
「もう帰ろ、A。タクシー乗ろ」
「えーやだ」
「もう俺らだいぶ酔ってるよ(笑)」
「でも帰りたくない」
「なんで」
「えいちゃんともうちょっと一緒にいたい」
「同じ家に帰るじゃん(笑)」
「それでもいたいの。帰りたくないの」
さっきまで大口をあけて笑っていたくせに、ぎゅっと俺の手を握って拗ねた子供のように口を尖らすから。
「…それさぁ、あんまほかの男に言うと勘違いされちゃうよ。俺だからいいけど(笑)」
なんとか理性を保って、ふざけるふりしてそう言った。
「…えいちゃんだったら」
「え？なに？(笑)」
「えいちゃんだったら、勘違いされてもいい。……って、思ってるかもしれないじゃん」
本当にAはずるい。
俺の気持ちも知らずに。
「じゃあ俺がホテルに連れ込んでもいいってこと？」
少し苛立ちを覚え、どうせ否定するだろうと半ばヤケになってそうたずねると、あろうことかAはゆっくりと頷いたのだ。
…とは言っても、流石に部屋に入ったらすぐ寝るだろうと彼女の意思表示を信じていなかった俺は黙って近くのホテルまで手を引いて歩いた。
Aはなにも言わなかった。
俺も、なにも言わなかった。
「えいちゃん。ごめんね」
部屋に入るなり、おぼつかない足で、潤んだ瞳で、少し赤くなった顔で、俺の首に手を回してAがキスしてきた時、もう俺の理性は限界だった。
嫌がったらすぐに止めようと、ゆっくり優しくベッドに寝かせたけど、嫌がるどころか何度も俺の名前を呼んで泣くから、「好き」って何度も言うから、すっかり勘違いしていた。
朝起きたら、シラフで、好きだと伝えてやろうとさえ思った。
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月海(gekka)(プロフ) - ファンさん» こちらこそ、ステキなコメントをありがとうございます。リアルさと分かりやすさを意識して書いていたので、それが伝わったようでとても嬉しいです。愛の深い方だなんて恐縮ですが、これからもそんな作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします (2019年4月15日 7時) (
レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
ファン - おつかれさまでした！描写がお上手で、みんなの表情とか動きが鮮明に想像できて、読んでて本当に幸せでした。あとがき読みましたけど、月海さんこそ愛の深い方だなと、それにそれを表現する力をお持ちの方だなと感じます。。！ステキな作品をありがとうございました！ (2019年4月14日 10時) (レス) id: 48cd0ac296 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - いずさん» お返事遅くなってしまいすみません！イメージしやすいような文章を意識しているので、読みやすいと言っていただけてとても嬉しいです！もう少しで終わってしまいますが、最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月24日 22時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
いず - 月海(gekka)さん» ストーリーの書き方など、とても読みやすくて夢中になっちゃいます。これからも更新楽しみに待ってます！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 50d70a4755 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - まっ茶さん» ありがとうございます。最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月21日 13時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月海 | 作成日時：2019年3月4日 18時
