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「みっくん…さ」
「ん？」
「えいちゃんのこと、どう思う？」
「どうって？」
「なんか…どんな人なのかな、って」
「どういうこと？(笑)それはAもよく知ってるでしょ」
ずっと一緒にいるんだから。
みっくんはそう言って笑う。
確かにみっくんの言う通りだし、私のことを一番わかっているのは彼らで、そして彼らのことを一番よく知っているのは私……と思っていた。
えいちゃんのことも、一番理解しているつもりだった。
それなのに、ここ最近のえいちゃんの言動は初めて見るようなものばかりで、一体彼がなにを考えているのか私では到底分かりそうもない。こんなに一緒にいても、知らない表情や声があるなんて想像もしなかった。
私はあの日のことを伝えずに、どうやってみっくんにこの気持ちを伝えればいいのか分からず、ゆっくりと言葉を慎重に選びながら話し始めた。
「えいちゃんってね…、」
「うん」
「た、例えばの話だけど、好きでもない子と…キスしたりできる人なのかな、」
「えっキス！？したの！？」
みっくんは頬張っていたリゾットを吹き出さんばかりに身を乗り出す。私は、まさかそれ以上のこともしましたなんて言えるわけがなく大きく首を横に振った。
「あーびっくりした。Aがえいちゃんとキスしたんかと思った」
「違う違う、例えばの話だよ」
上手くごまかせたか不安だったけど、「なぁんだ」と私の言葉を信じて笑顔になる彼をみて、少しだけ胸が痛んだ。
しばらく考えた後、みっくんはけろりと言った。
「…まぁできるんじゃない？」
それはガン、と思い何かが頭の上に落ちてきたような鈍い衝撃。
じゃああの夜も、ここ最近のちょっと変わった態度も、正真正銘“好きでもない子”に対する気まぐれだったということになる。
いつのまにかリゾットを食べ終えて、ごちそうさまと手を合わせたみっくんは、すっかり沈んでいる私に気づくそぶりもなく、「でも“しない”と思うけどね」と続けた。
「え？」
「やっぱ俺もだけど男だからさ、別に好きじゃなくてもキスとかできるんだよ。でも、しないの。特にえいちゃんは真面目だから、そういういい加減なことはしないと思うな」
みっくんのその言葉はなぜかすとんと腑に落ちて、あぁそういえば秋山英紀という男はそんな奴だったな、と今までの彼のことを思い出していた。
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月海(gekka)(プロフ) - ファンさん» こちらこそ、ステキなコメントをありがとうございます。リアルさと分かりやすさを意識して書いていたので、それが伝わったようでとても嬉しいです。愛の深い方だなんて恐縮ですが、これからもそんな作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします (2019年4月15日 7時) (
レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
ファン - おつかれさまでした！描写がお上手で、みんなの表情とか動きが鮮明に想像できて、読んでて本当に幸せでした。あとがき読みましたけど、月海さんこそ愛の深い方だなと、それにそれを表現する力をお持ちの方だなと感じます。。！ステキな作品をありがとうございました！ (2019年4月14日 10時) (レス) id: 48cd0ac296 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - いずさん» お返事遅くなってしまいすみません！イメージしやすいような文章を意識しているので、読みやすいと言っていただけてとても嬉しいです！もう少しで終わってしまいますが、最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月24日 22時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
いず - 月海(gekka)さん» ストーリーの書き方など、とても読みやすくて夢中になっちゃいます。これからも更新楽しみに待ってます！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 50d70a4755 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - まっ茶さん» ありがとうございます。最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月21日 13時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月海 | 作成日時：2019年3月4日 18時
