１４ ページ14
-side of Eiji-
今朝のA、ちょっと変だったな。
もしかしてほんとに起きてたのかな。
起きてたとしたらどうしよう。
「…ちゃん、ねえ、えいちゃんってば」
「えっ？ごめん全然聞いてなかった(笑)」
みっくんが運転する帰りの車、隣に座っていたりっくんが心配そうに俺の顔を覗き込む。
「大丈夫？今日ずっとぼーっとしてない？(笑)」
顔は笑っているけど、本当に心配していることがわかるほどりっくんの目は優しい。運転席のみっくんもそらも笑いながらこっちを見ていた。
「あーなんか今日ずっと眠いんだよね。…で、なんだっけ」
「だから、早く終わったしどっか飯でも行く？って」
「んーなんか疲れたから俺は帰りたいな。みんなでいっといでよ」
「…いや、じゃあみんなも帰ろ」
りっくんはまだ俺のことか心配なのか、「えぇー」と駄々をこねるみっくんとそらを宥めながら「久しぶりにイタリアンデリバリーしようよ」と楽しそうに提案した。りっくんほど優しい人を俺は見たことがない。
こんな時、素直にありがとうと言えたらいいのに、あいにく幼馴染たちには特に素直になれないひねくれ者の俺は、精一杯のありがとうを込めてヘッドロックをお見舞いしてあげた。
＊＊＊
「つかれたー！」
「A寝てるかな」
「いやまだ9時だよ？起きてるっしょ」
「Aもパスタ食べたいかもしれないよね」
３人が一目散にAを探すから、こいつらどんだけあいつのこと好きなんだよと笑えてしまった。まぁ俺もなんだけど。
編集のため、イヤホンを部屋に取りに行こうとその足で自室を目指す。
リビングからはAがいないと話しているあいつらの声が聞こえていて、どうせ風呂か部屋だろうと深く気にも留めずにドアを開けた。
「！」
それは、わずか1秒にも満たないほど短い時間だった。俺のベッドで、俺のパーカーを抱きしめて眠るAを見た途端、無意識に体が動いて思い切り扉を閉めた。
何故だか自分でもわからないけど、あいつらにバレたくないと思った。見られたくないと。
扉が閉まる音に目を覚ましたAは、俺の姿を見た途端飛び起きた。それは誰がどう見ても“バレてしまった”という表情で、なんで、どういうつもりでそんなことをしているのか俺の心の中で色々な感情が渦巻く。
「何してんの？」
冷静さを保ちながら、やっとのことで発した言葉にAはびくりと肩を震わせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 560人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月海(gekka)(プロフ) - ファンさん» こちらこそ、ステキなコメントをありがとうございます。リアルさと分かりやすさを意識して書いていたので、それが伝わったようでとても嬉しいです。愛の深い方だなんて恐縮ですが、これからもそんな作品を作っていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします (2019年4月15日 7時) (
レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
ファン - おつかれさまでした！描写がお上手で、みんなの表情とか動きが鮮明に想像できて、読んでて本当に幸せでした。あとがき読みましたけど、月海さんこそ愛の深い方だなと、それにそれを表現する力をお持ちの方だなと感じます。。！ステキな作品をありがとうございました！ (2019年4月14日 10時) (レス) id: 48cd0ac296 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - いずさん» お返事遅くなってしまいすみません！イメージしやすいような文章を意識しているので、読みやすいと言っていただけてとても嬉しいです！もう少しで終わってしまいますが、最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月24日 22時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
いず - 月海(gekka)さん» ストーリーの書き方など、とても読みやすくて夢中になっちゃいます。これからも更新楽しみに待ってます！ (2019年3月21日 23時) (レス) id: 50d70a4755 (このIDを非表示/違反報告)
月海(gekka)(プロフ) - まっ茶さん» ありがとうございます。最新話も楽しんでいただけると幸いです。 (2019年3月21日 13時) (レス) id: ef1778982a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月海 | 作成日時：2019年3月4日 18時
