accident 10 ページ32
『悪いけど、持ち物、調べさせて貰ったよ。書店のレシートがあった。
ほら、たまにレンタルとかで寄る店の。
店内のカメラでにのの姿を確認してる。それは、覚えてる？』
しばらく考えていると、ふわりと記憶が浮かび上がってきた。
『あ・・・・。うん。寄ったかも・・』
『所持品の中に購入したものが見当たらないんだ。
いつもと違うとこに行く予定とかなかった？』
俺は首を横に振る。
『本は何を買ったか覚えてますか？』
硬質な声が割り込んできた。二人組の刑事の、えっと、木下だっけ。
『本、買ったんだ。俺。』
全く記憶がないって、いいがかりをつけられた気分になるんだな。
買ってないものを買ったって言われたような気持ち。
『本当に覚えてない。ねえ。俺、どこにいたの？』
期せずして男たちは顔を見合わせた。
伝えた方がいいのかどうか、こそこそと話し合い、相葉さんが口を開く。
『実はね。○△町の歯医者の前の道に倒れてたんだよ。』
そう言って差し出された一枚の紙にはホームページが印刷されていた。
全く知らない歯医者の名前。
自分に対する不安が込み上げる。
いつもなら、店を出て、出入り口を右に折れるんだ。
それから歩いて帰れる距離にアパートがあるんだけど。
不意に、当時の光景が甦る。
夕暮れの景色の中に、黒い雲が不気味に浮かぶ。
これ、いつの記憶？
風が強くなっていて、雨でもふるかと思った。
『・・・駐車場・・・？』
ポロリと漏れた言葉に刑事が気づいてのぞきこむ。
『駐車場？どこの？書店の？』
記憶の中の何かが引っ掛かった・・・・気がした・・・
瞬間、刺すような痛みが走った。
『あっ！いっ！・・・った・・・』
頭を抱え込もうとして、肋骨の痛みがそれを拒む。
浅くなった呼吸で、なんだか朦朧としてきた。
『ちょっ！にのっ？！』
『二宮さん？』
周囲が騒がしくなる。
呼びかけにも応答出来ず、痛みに耐えているうちに、いつしか闇に落ちていった。
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ちえさん(プロフ) - はるのさん» はるのさん。いつもありがとうございます。楽しんで貰えて嬉しいです。二宮さんの思いは作者の一存にかかっているわけですが(笑)、それまでもう暫くお時間をいただきたいと思います。気長にお待ちくださいね。ありがとうございました。 (2018年7月17日 14時) (
レス) id: 18569da3be (このIDを非表示/違反報告)
はるの(プロフ) - ちえさん、素敵なお話いつもありがとうございます。よかった〜無事解決で。事故に記憶喪失ってどうなっちゃうの！？ってドキドキしました。大野室長の悪魔の笑みが怖いですが…二宮さんの思いは…届かないのかもなぁ。またこちらの皆さんに会えるのを楽しみにしています (2018年7月17日 13時) (レス) id: 4083dd9948 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - あむむさん» あむむさん。いつもありがとうございます。コメントいただいて、ほっとしたというのが正直な気持ちです。楽しめたのなら良かった♪二宮さんの本は書いた時は全く決めてませんでした。上手く繋がればタイトルが分かるお話になるかもしれません。気長にお待ちください。 (2018年7月16日 13時) (レス) id: 18569da3be (このIDを非表示/違反報告)
あむむ(プロフ) - ちえさん今回も楽しみました。日本の警察は凄い。能力がなくても地道な捜査で犯人を特定していく相葉さんがThe刑事で惚れました!結局二宮さんは何の本を買ったのでしょうか?またお話楽しみにしています。ありがとうございました! (2018年7月16日 13時) (レス) id: f2bd530470 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - はるのさん» はるのさん。いつもありがとうございます。ご期待に添えるよう頑張りたいです。コメントありがとうございます♪ (2018年7月10日 14時) (レス) id: d5e5f7f7c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちえさん
| 作成日時：2018年6月17日 14時
