検索窓
今日:10 hit、昨日:17 hit、合計:239,070 hit

告白-4 ページ9

寒いですし、さっさと帰ろう。と紅に声をかけると紅は自分の羽織を私に掛けてくれた。
紅の体温は私よりも高いので、とても暖かくてほっとした。
ありがとう。と声をかけ袖を通すと、照れ臭かったのかそっぽを向かれてしまった。
あ、そうだ。最後にこの男にだめ押ししておかなくては…。

「城崎さん、本日はご馳走さまでした。そして、本日を持ちましてA呉服は貴方のお店に金輪際服を卸さないことをここに宣言いたします。前回納品分の代金は違約金としてどうぞお受け取りください。こちらは必要ございません。」
「な、な…!」
「嗚呼、それとこちらのドレスもありがとうございました。デザインの良い勉強になりました。ですが、私は貴方の色に染められる気なんて全くございませんので」

もう必要ありません。とキッパリ宣言してやると、私は自身の炎が通った糸で補強した部分を一斉に燃やし、服を目の前で灰にしてやった。
青い炎を纏った灰が風に吹かれて舞う景色は、とても幻想的だった。
それにしても、ちょっと思い切りしすぎたかしら?物凄く寒くなってしまった…。

「A…」
「だって、一秒も着ていたくなかったから…」
「……帰るぞ。浅草に」
「はい」

紅は纒の炎を強めると、空へと高く飛び上がった。
多分、私の状態を考慮して人目につかないようにしてくれたのであろう。
屋形船は瞬く間に見えなくなった。

「紅、ありがとう」
「決着をつけたのはAだろうが」
「でも迎えに来てくれたのは凄く嬉しかったよ」
「………昨日は悪かった」

ポツリと呟かれた言葉は後悔の色を強く宿していて、私はそっと手を伸ばし紅の頭を撫でた。

「私も、自分で何とかしなくちゃいけないって思ってたから…頼らなくてごめんなさい。でも、睨まれたのは凄く凄く怖かったです」
「……もう今後はねェよ」
「そう願ってます」

私がクスクスと声を上げて笑うと、紅も優しく目尻を下げた。
冷たくも優しい夜風に吹かれ、大きな月に照らされながら私たちは無事に浅草へと帰還したのであった。

後始末-1→←告白-3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (89 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
224人がお気に入り
設定タグ:炎炎ノ消防隊   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - カニカマさん» 間違った読みで覚えてしまっていたみたいでお恥ずかしい限りです。現在は私生活が忙しく、趣味も執筆も妄想も捗らず、歯がゆい思いをしているのですが、いろいろ落ち着きましたらまたゆっくりマイペースに書いていきたいと思います。この度は誠にありがとうございました (2020年12月25日 0時) (レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - カニカマさん» 初めまして。誤字のご報告、誠にありがとうございます。また、お返事が遅くなり大変申し訳ありません。ご指摘頂きました鬼灯ですが、「ほおずき」に先程全て修正いたしました。とても助かりました。本当にありがとうございます!携帯の予測変換で変換していた為、 (2020年12月25日 0時) (レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - いつも楽しく拝読させていただいております。これからもご活躍を切にお祈りしております。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 題名で漢字変換もされており、文章でも繰り返し用いられているので「わざとかな?」とも思ったのですが、「変換できなくて『鬼』と『灯』で分けて変換してるという可能性もあるのでは」と思い至り、報告させて戴きました。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 炎ノ針子【弍】『鬼灯-1』夕夏の台詞の上から二行目に当たる文章の中で「ほうずき」とありますが、正しくは「ほおずき」です。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年11月12日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。