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昔の話-4 ページ49

「紅、早く行こう?」
「花は決まったのか?」
「うん。確かに菊だと寂しいから、椿にする。あと、もしかしたら花屋さんが母様の好みを知ってる可能性もあるから聞いてみる」
「そうかァ。決まったならさっさと行くか。寒ィ…」
「紅も羽織じゃなくてコートにしたらよかったのに」
「今年の年末には検討しとく」
「新しく仕立てるなら早めに言ってね?多分布はあるから」
「分かった」

紅が頷いたことを確認し、私は視線を前に向ける。
きっと紅に比べたら遅い歩調。歩幅の差も勿論あるけど、昔から当たり前のように合わせて歩いてくれる紅に、ちょっぴり密かに惚れ直しながら花屋へと今度こそ少し早めに歩いていく。
空は少し曇っていて、雪が降りそうな空模様だ。

「ごめんください」
「あら、Aちゃん、紅丸ちゃん。いらっしゃい」
「こんにちは、花江さん。お花を買いに来たのだけど少し相談もあって…」
「ふふ。紺炉さんから聞いたから準備してあるわ。伊織ちゃんの好きなお花でよかったかしら?」
「え、あ、はい。あと椿を頂ければ…」
「椿ね。ちょっと待ってて〜すぐに準備するわ」

花江さんはふわっと笑うとゴム手袋をして花を置いてある売り場の方に向かった。

「……紺兄〜!私の一大決心返して欲しい〜」
「紺炉はお節介なところがあるからな…」
「いや、でも正直そんな連絡を入れるとは思わなかった…!」
「A」
「何?紅」
「冬の浅草はお前に過保護になるんだよ」
「紅を除いて?」

私がからかうように返すと、紅は肩を竦め頷いた。
私は少し笑うと溜め息を吐く。
確かに冬には「Aの命日」があるからか浅草の皆は私に過保護になる。しかし、これが今後もずっと続くのであればそれはそれで困ってしまう。
もう十分大人になったと思っているのだけど…皆からしたらまだまだ心配な子供ということなのだろうか…?
せめて来年の私の誕生日にはもう大丈夫だ。と何か証明できればいいのだけど…。
私は頭を悩ませた。

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作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - カニカマさん» 間違った読みで覚えてしまっていたみたいでお恥ずかしい限りです。現在は私生活が忙しく、趣味も執筆も妄想も捗らず、歯がゆい思いをしているのですが、いろいろ落ち着きましたらまたゆっくりマイペースに書いていきたいと思います。この度は誠にありがとうございました (2020年12月25日 0時) (レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - カニカマさん» 初めまして。誤字のご報告、誠にありがとうございます。また、お返事が遅くなり大変申し訳ありません。ご指摘頂きました鬼灯ですが、「ほおずき」に先程全て修正いたしました。とても助かりました。本当にありがとうございます!携帯の予測変換で変換していた為、 (2020年12月25日 0時) (レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - いつも楽しく拝読させていただいております。これからもご活躍を切にお祈りしております。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 題名で漢字変換もされており、文章でも繰り返し用いられているので「わざとかな?」とも思ったのですが、「変換できなくて『鬼』と『灯』で分けて変換してるという可能性もあるのでは」と思い至り、報告させて戴きました。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 炎ノ針子【弍】『鬼灯-1』夕夏の台詞の上から二行目に当たる文章の中で「ほうずき」とありますが、正しくは「ほおずき」です。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年11月12日 17時

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