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夕凪 ページ5

「若、A行きましたよ」
「……そうかァ」

裏庭で瞑想していたところに紺炉の声が響く。
ゆっくりと目を開け応えると、縁側に腰掛けた。
紺炉が茶の入った湯呑みを置く。

「見送らなくてよかったのか?」
「気に食わねェ男のとこに行くっつーんだ。何も言わねェ自信がねェ…」
「ははっ。そうか。」

俺が拗ねたようにボソッと呟くと紺炉は笑いながら俺の頭を撫でた。
紺炉は他の奴がいねェとすぐに俺を弟のように扱うから少し困る。が、悪い気はしねェ…。
ずずっと音を立ててまだ熱い茶を飲む。
俺の頭を撫で終えた紺炉は、そんなちょっと気弱になってる浅草の破壊王に良いことを教えてやるよ。と言った。
誰が気弱だァ…。

「A、俺に頼んでまで紅がやった簪着けて行ったぞ」
「………」
「紅の代わりだ、ってよ。」
「………」
「なぁ、紅。」
「なんだァ」
「囚われの姫を連れ去るのはいつだってかっけぇ王子なんだ。紅は…行かねぇのか?」
「………はぁ」

紺炉は言った後、恥ずかしくなったのか頬を指で掻きながらも俺に問う。
俺は溜め息を吐いて、空になった湯呑みを置いて立ち上がる。

「場所は調べてるんだろォな?」
「任せろ。すぐに地図を書かせる」

夕から夜に変わる紫色の空を睨み、俺は纒を取りに向かった。
噂の火元を消しに行くとするか。

告白-1→←巻き返し-6



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設定タグ:炎炎ノ消防隊   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - カニカマさん» 間違った読みで覚えてしまっていたみたいでお恥ずかしい限りです。現在は私生活が忙しく、趣味も執筆も妄想も捗らず、歯がゆい思いをしているのですが、いろいろ落ち着きましたらまたゆっくりマイペースに書いていきたいと思います。この度は誠にありがとうございました (2020年12月25日 0時) (レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - カニカマさん» 初めまして。誤字のご報告、誠にありがとうございます。また、お返事が遅くなり大変申し訳ありません。ご指摘頂きました鬼灯ですが、「ほおずき」に先程全て修正いたしました。とても助かりました。本当にありがとうございます!携帯の予測変換で変換していた為、 (2020年12月25日 0時) (レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - いつも楽しく拝読させていただいております。これからもご活躍を切にお祈りしております。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 題名で漢字変換もされており、文章でも繰り返し用いられているので「わざとかな?」とも思ったのですが、「変換できなくて『鬼』と『灯』で分けて変換してるという可能性もあるのでは」と思い至り、報告させて戴きました。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 炎ノ針子【弍】『鬼灯-1』夕夏の台詞の上から二行目に当たる文章の中で「ほうずき」とありますが、正しくは「ほおずき」です。 (2020年11月14日 9時) (レス) id: aef0ed3227 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年11月12日 17時

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