波乱-3 ページ45
それから城崎さんは頻繁に…ほぼ毎日浅草に来るようになった。
私、ビジネスパートナーとしての線引きはしたい。って言ったよね？え？伝わらなかった？
私は正直参っていた。何故って？仕事が進まないからである。城崎さんが来ると当たり前だけど決まってうちに寄る。
そして私の作業時間は削られ、うちの針子は私一人なので納期のために自然と睡眠時間を削るようになってしまった。
そうこうしていると、浅草の卸し先から私の作った着物が売り切れたので卸して欲しい。と連絡が来た。
正直、これ以上邪魔されるのは無理だ。
私は意を決し、城崎さんに話した。
「城崎さん、納品を取りに来るとき以外、うちに来るの控えてもらえませんか？」
「え…？何故ですか？」
全く訳が分からない。という顔をするので、私は少し苛ついてしまった。
いや、何故って…！このボンボンが…！！
「A呉服の針子は私一人です。私一人でこの納期を回すのはそろそろ限界です。それに、花嫁衣装以外にも浅草に卸す着物の製作もありますし…。式までまだ期間が空く案件も結構ありましたよね？早くに作りサイズが合わなくなっては、オーダーメイドの意味がありません。なので、納期の調整をさせてください。」
「……確かに。ここの針子はAさん、貴女一人だけでしたね。僕としたことが失念していました。申し訳ありません」
「いえ。で、調整は可能ですか？」
「勿論。調整させていただきます。それぞれ挙式の一週間前を最終締め切りとし、完成次第ご連絡頂くという形を取らせていただいても？」
城崎さんは自分の非を認めると頭を下げて謝罪してくれた。
その時、何故浅草なんかの店を…と聞こえた気がするが、気のせいだろう。
城崎さんはささっと納期の変更案を提示してくれた。私はそれならば、と頷く。
城崎さんは無理をさせてしまい申し訳ありませんでした。と再度頭を下げると、今日はもう帰りますね。と店を立ち去った。
もう暫くは来るな。と内心舌を出した。
「僕の店よりも浅草の店を取りますか…やはり彼女はここから連れ出さないと難しそうですね…」
一人の柔和そうな青年は口を手をあて考え込むと、やがてニヤリと口角を上げる。
浅草唯一の耐火服を生業とするA呉服。
ここと専属契約を結べれば、自分の社長の地位は揺るがぬものとなるだろう。
それに、何より唯一の針子が美しいこと…こんな場所で置いておくには惜しい。
必ず、自分が手に入れて見せる。あの男には、渡しやしない。
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颯(プロフ) - ナツさん» コメントありがとうございます。残念ながら、私も別サイトにて夢を書いている者ではございますが、お探しの方ではなく大変申し訳ありません。ですが、そんな方とお間違えいただけるとは光栄でございます。引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。 (2020年1月2日 11時) (
レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませていただきました。人違いだったらたいへん申し訳ないのですが、もしかしてかつて別サイトでハリーポッターやナルトやハンターハンターの夢小説を書かれていた方でしょうか。 (2020年1月1日 15時) (レス) id: 8cabdf3766 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯 | 作成日時：2019年11月1日 0時
