父からの手紙 ページ38
今更何を、と思った。
文の最初は謝罪から始まった。
私を家族の前で愛せなかったこと。愛していると言葉にできず、母様を喪った時も抱き締めることができなかったこと。挙げ始めるとキリがないことを父様は律儀に謝っていた。
それから、父様が焰ビトになった火事の真相が書かれていた。
これを読む時、Aは何歳になっているだろうか？きっと伊織…母様に似ていたから、美人に育っていることだろう。
そして隣には、願わくば紅丸くんがいることを祈って。
まず、Aの母様、伊織は病死とされているが、それは真実ではない。真実は身内の手による毒殺だ。
悔しいことに私も伊織が亡くなった後に知ったことだ。
伊織はAを私の両親が道具のように扱うことを常に反対していた。私と伊織はA、君を愛していた。
だが、私と伊織がAに両親らしいこと、家族らしいことをしようものなら私の両親は鬼のように叱りつけた。
私の家系であるA一族は祖が陰陽師であり、炎の力を応用して符を強化することで名を上げてきた家系だ。故に血を絶やさないため、力を強くするために代々力あるものと婚姻を結んできた一族ともいえる。
つまり、私と伊織のように愛し合って婚姻を結んだのが稀なんだ。
だからといって、まさか伊織を目障りだからと殺すとは考えなかったよ…。
最初は後悔した。伊織の命を救えなかったことを私は酷く後悔した。でも、私にはAがいた。Aだけは決して両親の思い通りにしたくない。だってAは私と伊織の子だ。私は自分に何ができるかを考えた。そして、1つのくだらないことを考え付いてしまったんだ…。
準備期間は一年。私は細々と目立たないように仕事をしながら力を蓄えた。その間に私の財産や助けになりそうな刺繍案、パターン型紙、そしてこの手紙を布置きの床の下に埋めた。
そして今日、伊織の命日に私は大罪を犯す。きっと伊織と同じ場所にはいけないだろうが…A、君の幸せを願うよ。
他の一族も君の教育上に良くないだろうから私が連れていくね。
私は私の力全てを使い、A家を焼く。大火事となるだろうが、後は相模屋に頼んでいる。
A、どうか愛することを、愛されることを恐れないでくれ。
君は愛されて生まれてきた。それだけは忘れないで。
もし、迷ったら隣を見てみなさい。Aを一番に大切にしてくれる人がすぐ傍にいるから。
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颯(プロフ) - ナツさん» コメントありがとうございます。残念ながら、私も別サイトにて夢を書いている者ではございますが、お探しの方ではなく大変申し訳ありません。ですが、そんな方とお間違えいただけるとは光栄でございます。引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。 (2020年1月2日 11時) (
レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませていただきました。人違いだったらたいへん申し訳ないのですが、もしかしてかつて別サイトでハリーポッターやナルトやハンターハンターの夢小説を書かれていた方でしょうか。 (2020年1月1日 15時) (レス) id: 8cabdf3766 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯 | 作成日時：2019年11月1日 0時
