針子の仕事-4 ページ24
入って来られたお婆ちゃんのお孫さん、有紗さんは私の後ろを見詰めたまま固まってしまった。
私はまぁ、妥当な反応だろう。と思い、固まったままの有紗さんの手を取り、歩を進める。
紺兄は有紗さんと入れ替わるように退室した。
衣装の前に辿り着いた有紗さんはそのまま崩れ落ちるように座り込んでしまった。
「何故、何故…？Aちゃん。何でここにこんな服があるの？私が今日着るのはこの服ではないわ」
「いいえ。今日着ていただく服は、この服で間違いありません」
「嘘よ！だって私は今日、喪服を着るために来たのよ？なのに、何故、何故！ここに婚姻衣装があるの！？」
そう有紗さんが泣き叫ぶかのように言葉を吐き出し、指差した先には確かに真っ白のオーダー通りの婚姻衣装があった。
確かに私が昨日再依頼で頂いたのは喪服だ。でも私は、敢えてこの婚姻衣装を準備した。
理由は、簡単だ。
「有紗さん、これを…」
「これは…？」
「これはですね、昨日返し忘れてしまったのですが、銀二さんが焰ビトになっても、紅に頼んででも燃やしたくなかった大事なものが入った箱です。鎮魂前に私が預かっていたんです」
「その箱が、何？」
「私はその箱の中身を知りません。でも、箱の中身を当てることができます。…開けてみてくれませんか？」
私がそう言って促すと、有紗さんは恐る恐る箱を開いた。
そして、涙が零れた。
「ねぇ、有紗さん。その中には指輪が入っていませんか？」
「…っ、入って、るわ」
「何の指輪だと思いますか？私はね、銀二さんは見たかったんだと思います。もう隣には立てないけど、それでも自分の奥方はこんなにも綺麗なんだぞって自慢したかったんだと思うんです。」
「………っ」
「だから、私は用意しました。銀二さんとのお別れは、銀二さんが望んだ姿で、笑顔で見送りましょう。そして、先に居なくなったことをとても後悔するくらい綺麗になってやりましょう！」
「私に、出来るかしら…？」
有紗さんは指輪を大事そうに両手で握り締めると私に尋ねた。
私はその手に自分の手を重ね笑って言い切った。
「大丈夫です！その為に私がいるのですから！さ、着替えましょう？有紗さん！誰もが羨むくらい美しい花嫁になりましょう！」
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颯(プロフ) - ナツさん» コメントありがとうございます。残念ながら、私も別サイトにて夢を書いている者ではございますが、お探しの方ではなく大変申し訳ありません。ですが、そんな方とお間違えいただけるとは光栄でございます。引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。 (2020年1月2日 11時) (
レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませていただきました。人違いだったらたいへん申し訳ないのですが、もしかしてかつて別サイトでハリーポッターやナルトやハンターハンターの夢小説を書かれていた方でしょうか。 (2020年1月1日 15時) (レス) id: 8cabdf3766 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯 | 作成日時：2019年11月1日 0時
