見回り-3 ページ12
腕を引かれ振り返ると、予想通り眉間にシワを寄せた紅が私を見下ろしていた。
先程までは嫌がる素振りを見せながらも、何だかんだ楽しそうにしていたはずなのだけれど…？
「紅？」
「…頑張るのはいいが、程々にしとけよ」
「分かってますよ。でも、いいイメージが降りてきたら邪魔しないでよね」
「お前ェが寝食忘れねェっていうならァ、何も言わねェよ」
「それはそれ。これはこれ、でね？」
「ああ？」
紅が少し怖い顔で見てくる。何故か紅は私が少しでも無理をしようものなら紺兄のように過保護になるのだから不思議である。
別にもう幼子でもあるまいし、私も立派な一人の針子である。
更には家の看板も背負っている。歴代が無駄にでかくした看板だから正直邪魔っちゃ邪魔なんだけど…。
だから、私にも引けないプライドというものがあるので、紅を睨み返す。
すると、やんわりと少し困ったような声が仲裁に入った。
「こらこら、喧嘩するほど仲が良いのは分かるけど落ち着いて。そうだ。これから孫夫婦に届ける大福を作るんだけど、二人とも手伝ってくれるかい？」
「……私、裁縫以外は不器用だから形が歪になっちゃうかもしれないのだけど…」
「大丈夫よ。料理は見た目じゃなくて味よ。味」
「おい、ババァ。だったらこの苺も使ってやれ。今日の上物だとよォ」
「あらあら、紅丸ちゃんいいのかい？じゃあお言葉に甘えて」
さぁ、行きましょう。とお婆ちゃんはゆっくりと歩いていく。
私と紅は顔を見合わせ少し笑うと、お婆ちゃんの横に並んだ。
浅草の人たちは今日も温かい。
その優しさの炎がある限り、私たちの浅草はきっと無くならないだろう。
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颯(プロフ) - ナツさん» コメントありがとうございます。残念ながら、私も別サイトにて夢を書いている者ではございますが、お探しの方ではなく大変申し訳ありません。ですが、そんな方とお間違えいただけるとは光栄でございます。引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。 (2020年1月2日 11時) (
レス) id: 0be6f2aa57 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませていただきました。人違いだったらたいへん申し訳ないのですが、もしかしてかつて別サイトでハリーポッターやナルトやハンターハンターの夢小説を書かれていた方でしょうか。 (2020年1月1日 15時) (レス) id: 8cabdf3766 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯 | 作成日時：2019年11月1日 0時
