36話・届くか、なんて ページ8
一つ、息をつく。
教室の廊下側から三列目のこの席になり、かれこれ約二週間。新しいクラス、新しい教室、新しい人たち。何もかもに不馴れな状態。
…この状態を、どうやって切り抜けろというのだ。
「あら神無月さん、お悩みですの?」
「え、ナオミさん。…ナオミさん、ここだったんですか?」
「そうよ、高校からここ辺り。お兄様が探偵社の寮に行く時に学校ごと切り替えましたわ」
「そうなんですね!」
彼女は、武装探偵社の事務員である谷崎ナオミさんだ。何処か強気でしっかり者の人で、兄である谷崎潤一郎さんが大好きだ。…血縁関係だとは思えないほどに。
…ここに入学し二週間。元は約一年前まで南の方の田舎に住んでおり、海さんのスカウトを受けヨコハマに来た。
そのため知らない人ばかりで、何処にも話す切っ掛けもなく。とりあえず何人かは話せるが、どうにもならない感は恐ろしい程に出ている。俺こんなに人見知りじゃなかったよなぁ…。まぁ確かに、一度暴走したことによって、『名前を呼ばれる恐怖』というのはあるかもしれない。
…頑張らないと。涙も来てくれたんだ、自分で何とかできるところは自分でカバーしなければ…。
「…それであの、ナオミさんはなんで教室に入ってるんですか?」
ナオミさんは一つ上だ。…そして、校則上別の教室に入るのはそこまで良くないはずでは…。
「社長とここの校長がご友人ですの。ですから、多少は目を瞑ってくださるのよ?」
「福沢社長、凄いですね…」
それで、隼さんがここを物凄い勢いでおすすめしていたのか…。納得した。
「Puroseraru」では、俺しか学校に通っていない。海さん隼さんは卒業済み…らしい。詳しいことまで踏み込む勇気はない。陽と夜さんは俺と同じように田舎から来て、その際に中退してそのままらしい。
対して「Gravity」は駆、恋、葵さん、新の四人が通っている。しかも、同じところに。始さん春さんは、隼さんたちと同じく卒業済みらしい。
「それでは。私はもう戻りますわ、帰り、一緒に帰りましょう?」
「…はい、良いですよ」
「それじゃあ、放課後校門で待ってますわよ」
では、と手をヒラッとさせナオミさんは教室から出ていった。…周りはザワザワしてる。多分、ナオミさんに関することでだろう。
現在は昼休み…がもう少しで終わりそうだ。
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作者名:風雪妃月 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月24日 7時