4話 ページ4
「ごめん、ちょいトイレ行ってくる、もし先生来たらそう言っといてー」
目の前にいるゆいとたかとにお願いをして、ちょっくら教室を抜け出す。
当然トイレなんて行かない。
ちょっと大学とか考えたら疲れたからあの場所へ。
「屋上、これより生徒進入禁止」
そう書かれているドアを開ける。
意外と鍵はかかってなかったりする。
私は大して高くもない3階、この屋上から外を眺めるのが好きだ。
下を見ると車が走っている。
目の前はビルばかり。
だけどここで目をつぶって風に当たってると、水泳してる時と同じように全てを忘れられるんだ。
私は成績は全然よくない方だ、でも今この時間は理科の授業中、理科はまだ悪くないから一回ぐらいさぼっても大丈夫、自分が落ち着く方が大事かなって思ったからね。
だからここに来た。
でもね、こうやってこうやって大学のことで行き詰まったら毎回この屋上に来て、これじゃダメなんだ。
大学のことを真剣に考えて答えに向かおうとしない私のことが嫌い。
分かってるのに。
あと、ずっとずっとゆいとたかとと一緒にいたいから。
だから大学のことも考えたくないんだよ。
二人がいない学校生活なんて...楽しいことなんてあるわけないとまで思っちゃう、まだ決まってないのに。
この悩みとか心のモヤモヤとかも全て...二人に相談してみるべきなのかな。
二人なら絶対しないって信じてるんだけど...
さっき嘘付いたから弱虫だとかまだ決まってないの？wwwとか言われそうで笑われそうで怖いんだ…
ああ、こんな心の状態なら親友まで疑ってしまうのかな。
ちょっと悲しい。
なんとなく時計を見てみるともう30分も経っていた。
あと15分で理科も終わるのか、二人になんて言い訳しよかな。
「ちょっとお腹痛くなって45分ずっとトイレにいた」
うん、これでいいや。
...辛い。嘘が、小さい嘘でもどんどん増えていくのが本当に辛い。
二人は親友なのに。
世界一信頼してる人のはずなのに。
自分が弱いからって二人を勝手に疑って。
二人にまで怯えるようになっちゃって。
真実を話せなくなって。
今までどこにいたかも、大学のこともね。
もちろん大学に行っても二人とずっと変わらず親友のままでいたいなって思う。
でも今の私じゃ...大学に行く前から自分から二人と離れていってしまうような気がしてさ。
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作者名：にくにく | 作者ホームページ：http://twitter.com/17102929
作成日時：2014年7月4日 21時
