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―You Side―
「Aさんが助けてくださって本当に助かりました.......」
『いやいや!凛月くんも大事なくて良かったね』
パイプ椅子に座ったまま、申し訳なさそうに頭を下げているのは司くん。
ここは保健室。そして、私たちの目の前にあるベッドには、凛月くんが少し苦しそうに横たわっている。
まぁそれでも、最初に見つけた時よりはだいぶ顔色も回復してきた方だった。
「は〜…心臓が止まるかと思いましたよもう…」
『そうだね、あの時の司くんの焦りようといったら…ふふ』
「笑わないでください〜!死んでいるのかと思ったんですから!」
涙目で訴える司くんに、失礼だけど笑いが止まらない。
そう、事件が起こったのは昼休みのこと…。
英智くんは至急の生徒会のお仕事があるとかで、久しぶりに1人でお昼を済まそうとしている時だった。
いつものように購買部でサンドイッチを買い、どこで食べようかな〜と中庭をうろうろしていると、こちらへ走ってくる赤髪の子がおり…。
お察しの通り、その子が司くんである。もう今にも泣きそうだったというか、多分泣いていた。
「Aせんぱい〜〜〜!!! 助けてください〜〜!!! 司はもうどうすれば良いのか……!!!」
『えっ、ちょ、どうしたの…!?』
私を視界に入れた瞬間、縋るように足元で崩れ落ちた司くん。心配でしゃがむと、項垂れていた司くんの顔ががばっと上がり少しびっくりする。
「あの、あ、り、りつせんぱ……りつせんぱいが…!!!」
『まず司くんが落ち着こうか…!!』
ぽろぽろと涙をこぼし、パニック状態になっている背中をさすって落ち着かせる。
20秒ほど経つと、呼吸とともに激しく動いていた背中も安定してきた。
「すみません……もう大丈夫です、情けないところを……」
『ううん、気にしないで』
もう大丈夫だろう、とゆっくり立ち上がらせると、再度「すみません、ありがとうございます」と少しばかり恥ずかしそうにする司くん。
『それで、一体なにがあったの…?』
「実は先程、Garden spaceの隅で倒れている凛月先輩を発見しまして…」
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綺月(プロフ) - やっばいですキュンキュンしすぎて死にそうです (2021年10月24日 22時) (レス) @page44 id: 4b09ec865e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫水 | 作成日時:2020年7月26日 15時