貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ36)

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－You Side－

《そんなふうに話を逸らそうとしても、かわいいだけだよ？》

『おそろしい……』

「何が、“おそろしい”のかや？」

『ぎょっっ』

突然ひょこっと目の前に現れた零くんに驚いて、一歩下がる私。

独り言のつもりが、どうやら彼には聞こえていたらしく。

『……なんでもないけど』

「いやいや、なんでもなくは無いじゃろ？」

『零くんが聞いても何も得しないよ？』

「損得は置いといて、我輩はただ嬢ちゃんの話を聞きたいだけじゃよ～」

『…………』

うーん、しつこいぞ零くん。
拒否しても拒否しても諦めてくれない。

そんな中、ふと救世主のように横槍が入る。

……残念ながら実際、救世主ではなかったけれど。

「Aちゃんのお悩みなんて聞かなくても分かるでしょ～、朔間さん。

どうせ、彼氏クンのことじゃん？」

「彼氏クン……というのは、天祥院くんのことじゃな。
まだ付き合いたてじゃろうが、最近どうなのかや？」

口を挟んだのはもちろん羽風薫くん。……話広がらせやがって。

『どうって言われても……。
ほぼ毎日一緒にお昼食べたり帰ったりしてるから、新鮮ですごく楽しい、かな』

「くく、嬢ちゃんが楽しいなら何より。のう、薫くん？」

そう言って、微笑ましそうに頷く零くん。
けれどそれと比べて、何故か薫くんは不満そうな顔をしていた。

『どしたの、薫くん』

「……いいよねぇ、Aちゃんは」

『……？』

首を傾げたまま零くんと目を合わせれば、その零くんは困ったように笑って。
結局何を伝えたいのかは分からず、私は益々首を傾げるばかりだった。

「カッコよくて優しい彼氏がいて、毎日楽しくてさぁ……」

『は、』

「薫くん。いくら自分が上手くいかないからって、嬢ちゃんに八つ当たりするのは良くないぞい？」

ヤレヤレといったふうに、ため息をつく零くん。
八つ当たりって、なんの？と返せば、零くんはこう話した。

「あんずの嬢ちゃんをまだ1度もデートに誘えていないから、落ち込んでるんじゃと」

『はあ、』

「ちょっ、俺まだ何も言ってないじゃん！！」

否定するようにガバッと立ち上がる薫くん。
けれど、「違うのかや？」「……違くないけど」と一瞬にして再度座ることとなった。

「あぁあ～～～どうして毎回断られちゃうんだろ！？」

『信用されてないからじゃない？』

「日頃の行いじゃの～～」

「ふたりともヒドい！！！」

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