貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ34)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:73,341 hit

_82 ページ34

－You Side－

『うわ～～……この英智くんめっちゃかっこよ、』

『やっぱり家の仕事なんてほったらかして、喧嘩祭見に行けば良かった……！！』

「ふふ、やっぱり写真撮っておいて正解でしたね」

学院のガーデンテラスにて、あんずちゃんのスマホを覗き込む私。
その視界に映っている写真……それは、先日行われた『喧嘩祭』のもの。

「ほらほら見てくださいよ先輩、これとか目線すっごい上手く撮れてませんか……！？」

『もう流石としか言いようがないよあんずちゃん……』

本当に、画面をスクロールされるたび目が焼けてしまうほど、どれもかっこよくてかわいくて。

急遽行けなくなった私にとって、彼女には感謝してもしきれないくらい感謝の気持ちでいっぱいだった。

『……そういえば、敬人も楽しそうにしてたかな？
本人に直接聞いたんだけど、何か曖昧な返事されて……』

「曖昧な返事、ですか……？

蓮巳先輩もいつもより楽しそうにしてましたけど、」

ふーむ、と顎に手を当て考える仕草をするあんずちゃん。

すると、面白半分なのか「来てくれなかったから拗ねちゃってるとか？」と問われるけれど。
あの敬人がそんなことあるだろうか？

『まあ正直に言うと、それ以前に前々から避けられてるような感じしてたし……』

「確かに、最近ちょっと距離ありますよね、ふたり」

こくりと頷く。時期的には、丁度英智くんと付き合いたての頃だったような。
なんかしたかなあ。何度思い返しても、その節は残念なことに見当たらない。

「私がこんなこと言っても、気休めにしかならないかもしれませんが……」

そんな、眉をぎゅっと寄せている私の様子を見てか、あんずちゃんが口を開いた。

「A先輩があんまり思い悩む必要も、ないと思います」

「何処かで知らないうちにすれ違いが起きてしまって、ちょっと距離が空いてるだけですよ、きっと」

安心させてくれるような、あったかい言葉がすっと胸に染み渡る。

あんずちゃんに気を使わせてしまったことに、少しだけ申し訳なく思ってしまった。

『……そうだね、このままなのは寂しいし、ちゃんと話してみる』

「はい、何かあればいつでも相談してくださいね！」

.