貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ25)

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－You Side－

「……ふむ、一先ず良かったじゃないか。
想い人と無事思いが通じ合ったのだろう？」

指を自身の顎に添え、少し考えるような表情を見せる敬人。
寧ろ何に悩んでるんだ、とでも言いたげである。

『もちろん、嬉しいは嬉しいよ？

でも、結局自分の思いは英智くんに伝えきれてないから……』

あぁもう、頭がふわふわする。夢でも見てるみたいで。

そもそも気持ちを伝えられたからと言って、返事を求められているのかも分からない。
この先どうすればいいのか、何が正解なのか。

「俺は恋愛経験がほぼ無に近いから、
こういうのはハッキリ言って向いてないんだがな。

最後は、Aがどうしたいか。
ここで終わらせたいのか、否か」

そう言って、書類の束を机の上で揃える敬人。

答えは今すぐには導き出せず、曖昧に頷くことしか出来なかった。

「……あんなに英智のこと好き好き言ってたくせに、」

『それを今言うんじゃないっ』

＿＿＿

『……あ。そういえば結局、なんで敬人はこんなとこで事務仕事してるの？』

ぼーっと頬杖をついて、敬人の様子を眺めていたとき。

そういうのは普段生徒会室でやってるよね？と付け足す。
敬人がたまたま聞き取れなかっただけなのか知らないけど、結局教えてくれないままだったんだ。

「……追い出されたんだ」

『おいだされ……？』

「普段と同じように、生徒会室で書類を広げようとしたら……

“今日はお客さんが来るから出ていって” などと」

「思い出すだけで腹が立つ」と不快感をあらわにする敬人。

きっとそう言ったのは英智くんなのだろう。
そう勘づいた私は、ちょっと同情するような乾いた笑いしか出てこなかった。

『……それにしても、“お客さん” ？』

「俺もさっき言われるまで知らなかったんだぞ……

まったく、こういうことは事前よりも前に話せと口酸っぱく言っていたんだが」

またもや呆れるような困ったような顔をする敬人に、まぁまぁと宥める。

敬人もその “お客さん” について詳しいことは知らないみたいだけど、
英智くんが “来訪者”などではなく「お客さん」と呼んでいたならば、
結構親しい間柄なのかもしれない。

『それが可愛い女の子とかだったら絶対立ち直れん……』

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