貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ20)

今日:5 hit、昨日:30 hit、合計:73,542 hit

_68 ページ20

－You Side－

ふわ、と廊下を歩きながら欠伸をひとつ。
昨日の放課後は、あんみつを食べたこと以外いろいろと災難だった。

ただ単に元気を出させる為に誘ってくれたのかと思いきや、何があったのかしつこく聞いてくるわ、あんみつ食べただろ？って強制的に言わざるを得なくなるわ……。

あの敬人が奢りを快諾すること自体、おかしいと思ったのに。

くっそう、どうして気付いただけで行動に起こさなかったんだろ。

後悔しても仕方ないんだけど、ため息をついてしまう。
最近ため息の回数が多くなってきたような気もするし……幸せ逃げまくりじゃん、自分。

は～あ、と連続するほど幸せが逃げていく。

すると、後ろの方からパタパタという足音が近付いてきて。
反射的にそちらへ振り向いた。

「神楽せんぱ……ではなく、Aさん！

おはようございます！」

小走りでこちらへ駆けてきたのは、朱桜くん。

軽く上がった息を整える彼に、挨拶を返す。
嬉しいことにあの日以来、彼とは信じられないくらい仲が深まったけれど。

「苗字ではなく、名前で呼んでくださいとこの前言いましたよ！
私だけでは不公平です！ Repeat after me＿司、です！」

自身の胸に手を当てつつ、必死になってそう伝えてくる彼。

すお＿＿司くんもいつの間にか、砕けた話し方になっているような気がしているし。

まだ真面目に話し始めて間も無い後輩に、こんなにも心を許してくれているみたいで、この上ない嬉しさを感じた。

『わかったわかった、司くん』

「……いつか呼び捨てにしてもらいますからね！」

いいですよとは言いつつも、ちょっと不服そうな顔をしている。
呼び捨ては流石にまだ早いんじゃないかなぁ、なんて思ったり。

そんなことを考えていると、ひとつの疑問が浮上。

『それはさておき、なにか用事でも？』

「失敬、一瞬でも本題を忘れかけていました……」

相変わらず、Aさんとは話題が逸れますね、と苦笑する司くん。

控えめに頷くと、彼の言う “本題” を話し始めた。

「つい先日、Sweets vikingのお話をしましたよね」
『そうだね』

不意にそう言われ、先日の司くんとの会話を思い出す。

私的には夏休み中に行ければな～、とは考えていたけれど……。

「実はこの私、Sweets vikingというものに行ったことが無くて」

.