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−You Side−
付き合うって、すごい。
付き合うって、ドキドキする。
どうしても付き合う前とは全然違って見える英智くん。
……というか、英智くん、甘すぎじゃない?
こんなんじゃ、『英智くん私のことめちゃくちゃ好きじゃん』って自惚れても仕方ないと思う。
「そうじゃなきゃ付き合わないよね?」
『……えっ?』
がばっと勢いよく顔を上げる。
……ま、待った待った。もしかして、無意識に口に出てた?
『っ、ひえぇ……』
無自覚以前に、内容が内容。
恥ずかしさに耐えられなくなった私は、その場に崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。
「Aちゃんって、そういうこと言うんだ」
『っごめん……思い上がりもいいとこだよね』
「謝らないで。真実なんだから思い上がりでも何でもないよ。
……“Aちゃんも、僕のこと大好きだろう?”」
澄んだ瞳に見つめられて、胸がつまる。
喉がつっかえて上手く声が出なかったから、コクコクと頷いた。
「ね、だから思い上がりなんかじゃないよ」
『……ん』
英智くんも自分の発言に羞恥心を感じているのか、若干頬が赤い。
ふいに愛おしさが溢れて、私は彼の両手に自分の両手を絡ませた。
「……Aちゃん?」
『あ、のね』
「うん」
『私、英智くんと、その……付き合えて、すごい幸せだよ』
ありがとう、と伝えて。
そして私は、思い切って彼の右頬にキスをした。
「……えっ」
自分からするのって案の定勇気いるなぁ、なんて思っていれば、本人はあっけらかんな顔。
綺麗な空色の瞳さえもパチクリとさせていた。
『……嫌だった?』
「や、全然……嫌じゃない、」
顔を伏せて、嫌じゃないけど……ともう一度言う英智くん。
けど? という言葉の続きを待っていれば、再び口を開く。
「不意打ちは、禁止……」
『っ、』
前髪から覗く色白な肌が、さっきよりも赤く染まっていて。
……そんな顔をさせてる方が禁止でしょ。
お互いいたたまれなくなって、すっと先に立ち上がったのは英智くんだった。
手は繋いだままだから、私もつられて立ち上がる。
「……そろそろ、帰ろうか」
『……うん』
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綺月(プロフ) - やっばいですキュンキュンしすぎて死にそうです (2021年10月24日 22時) (レス) @page44 id: 4b09ec865e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫水 | 作成日時:2020年7月26日 15時