＊136 夢 ページ46
*
・
『拓也さん、タオル』
江口「ん、ありがと」
ハンドタオルを渡すと、眼鏡を外して顔を拭く。
濡れた前髪と睫毛が色っぽいというかなんというか。
江口「Aは？拭かないの？」
『あ、大丈夫です。タオルそれしかないし』
江口「だめ、拭きなさい」
『でもそれ拓也さんが…っわぶ』
江口「風邪ひくでしょ」
そう言いながら私の顔と前髪を優しく包んで拭いてくれる。って言っても、拓也さんが使った後だからタオルが若干濡れてて冷たいんだけど…
でも、ご機嫌な彼の顔を見てたらそんなのどうでもよくなって、拭かれるがまま目を瞑る。
……なんか、すごく心地いい。
江口「眠い？」
『ん…ちょっとだけ』
江口「もう日付あっという間に超えてるもんなー」
『それもだけど、拓也さんの手が温かくて気持ちいい』
江口「んひひ、ほんと？」
スリ…と顔を大きな手に擦り寄せると、私の両頬を優しく撫でる。
そして、しばらく沈黙していた拓也さんが口を開いた。
江口「……ねえ、A」
『うん？』
江口「俺ね、今すごく幸せ」
『…ふふ、なに急に』
突然甘い声でそう言い出すから、思わず口元が緩んでしまった。
だってそう思ったんだもん、と恥ずかしそうに笑いながら彼が言葉を続ける。
江口「Aは？Aは今、俺と居て幸せ？
俺はちゃんと、Aのこと幸せにできてる？
ちゃんと、俺の好きって気持ち伝わってる？」
心配そうに私にそう聞く拓也さんは、自分で聞いておきながら答えを聞くのが怖いのか少し不安げな目で私を見つめる。
そんな心配、する必要なんてないんだよ？
だって、私も今すごく幸せだもん。
『幸せ。拓也さんと一緒に居れて、すごく幸せだよ』
江口「っ…良かったぁ」
『拓也さんて実は結構心配性ですよね』
江口「Aに関してはね」
ひひ、と笑いながら私の肩に顔を埋める。濡れた髪が首筋に当たって冷たくてくすぐったい。
江口「……俺ね、最近夢見るんだ」
『夢？』
江口「でっかい家で、でっかい庭で子どもが遊んでてさ。それを可愛いなーって笑いながら見てんの。それで、その俺の横にはAがいる」
『っ…』
江口「目が覚めた時いっつも思うんだ。これからAとどんな生活を送っていくんだろう、どんな子どもが育っていくんだろう…って」
まだ気が早い？なんてふにゃりと笑いながら聞く彼に、そんなことないと返す。
なんて幸せで、いい夢なんだろう。
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gtuysut5843…(プロフ) - 好きです最高です素晴らしい作品をありがとうございました。 (2022年7月20日 0時) (
レス) @page49 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ほの - めっちゃよかったです！！最初から3個目までぶっとおしで読みました！素敵すぎるお話ありがとうございます！！ (2022年3月28日 23時) (レス) id: 717802fa3e (このIDを非表示/違反報告)
かぬ - めっちゃ好きです…！！！文才分けてくださi(((((( やっぱ江口さんは江口さんで安心しました！！！← 素敵な作品ありがとうございました！（ぶっ続けで読んでたやつ） (2021年12月28日 15時) (レス) @page49 id: a3ef6512e0 (このIDを非表示/違反報告)
松(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！！！！！ (2021年8月15日 23時) (レス) id: 2d208b8020 (このIDを非表示/違反報告)
侑李(プロフ) - 正直三周目ですが全然飽きません！素晴らしい作品をありがとうございます！！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 22f938d982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる
| 作成日時：2020年4月22日 18時
