＊135 噴水 ページ45
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江口「ね、ちょっと寄り道しない？」
ラジオ放送が終わった帰り道、そう言い出した拓也さんに連れてこられたのは、とある公園。
散歩したいのかなと思いながら彼の後ろをついて行くと、中央にある噴水広場で立ち止まった。
『噴水？』
江口「ちょっと待ってね、そろそろだと思うんだけど……あ、来た」
腕時計を確認した拓也さんに「ほら、見てて」と言われて噴水に目を向ける。
すると、今まで静かに流れていた水が途端に大きさと量を増し、ライトアップと共にリズミカルに動き出した。
おまけに落水のモニュメントも始まり、まるでちょっとしたショーを見てるみたい。
『わぁ…！綺麗！』
江口「すごいよねこれ。夜この時間にならないと見れないんだよ」
『こんな深夜なのに？』
江口「うん、深夜なのに。でも、こんなにすごい光景知ってるの自分だけって思うと、なんか嬉しくない？」
得してる気分、と笑う拓也さん。
その“自分しか知らない景色”を私に教えてくれたっていう事実が嬉しくて、口元が緩む。
江口「なんかさーこうやって水が流れてるの見てたら飛び込みたくならない？」
『うーん……ならん』
江口「ならんのかいー……っわ、冷た」
パチャパチャと手を噴水の縁側に入れて水を揺らし始める。
「きもちー」と言いながら楽しそうにしてる拓也さんが子どもみたいでクスクス笑ってると、ちょいちょいと手招きをされた。
江口「Aも手入れてみ」
『いいですよ濡れたくないもん』
江口「いいから、ほらこっち来て」
手招きをする拓也さんに近づくと、ニヤーっと悪い顔を浮かべる。
あ、しまったと思った時には既に遅くて、噴水の水を思いっきりかけられた。
『ッぶあっ！！』
江口「いひひひっなんなの今の声、んははは！」
やると思ったよ。絶対やると思ったよ。
口元を腕で抑えながらずっと笑ってる拓也さんに腹が立ってきて、お返しとばかりに水をぶっかける。
江口「ぶわっちょ、あぁぁ眼鏡が！！…んのやろ！」
『わっ…ねえ！顔は無しでしょ！』
江口「眼鏡の恨み！おりゃあ！」
大の大人二人が深夜の公園で水の掛け合いをしてキャッキャはしゃいでるなんて、他所の人からしたら何してんだって言われるよ。
でもなんだか楽しくなっちゃって、笑い声を響かせながら水を掛け合う。気づけばもう二人ともビショビジョ。
『はぁ、はぁ…一旦休憩！』
江口「はぁー、何してんだ俺たちは」
『始めたの拓也さんだけどね』
*
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gtuysut5843…(プロフ) - 好きです最高です素晴らしい作品をありがとうございました。 (2022年7月20日 0時) (
レス) @page49 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ほの - めっちゃよかったです！！最初から3個目までぶっとおしで読みました！素敵すぎるお話ありがとうございます！！ (2022年3月28日 23時) (レス) id: 717802fa3e (このIDを非表示/違反報告)
かぬ - めっちゃ好きです…！！！文才分けてくださi(((((( やっぱ江口さんは江口さんで安心しました！！！← 素敵な作品ありがとうございました！（ぶっ続けで読んでたやつ） (2021年12月28日 15時) (レス) @page49 id: a3ef6512e0 (このIDを非表示/違反報告)
松(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！！！！！ (2021年8月15日 23時) (レス) id: 2d208b8020 (このIDを非表示/違反報告)
侑李(プロフ) - 正直三周目ですが全然飽きません！素晴らしい作品をありがとうございます！！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 22f938d982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる
| 作成日時：2020年4月22日 18時
