＊119 聞きたくない ページ29
*
・
江口「いやー今時のマスメディアってすごいね。ここまで来るのにひと苦労だったわ」
『た、拓也さん…』
まさかと思って自宅の玄関を開けると、「やっほー」と片手を上げた拓也さんが居た。
「ちょっと入れて」と言われて家に招き入れたけど、玄関から一向に上がろうとしない。
『…上がらないんですか？』
江口「ん？うーん……うん、ここでいいや」
『お茶ぐらい出しますけど…』
江口「いいよ、気ぃ使わなくて。それに………ここから先に上がったら、Aのこと朝までずっと離したくなくなっちゃうと思うから」
『っ…』
江口「接触するなって言われてるし、ここで大丈夫」
やっぱり、拓也さんも私との接触を止められてるんだ。
ずっと一緒に過ごしていた分、この中途半端にとられた距離がもどかしい。
江口「これ、俺ん家に置いてあったAの私物。無いと困るだろうなって物だけ持ってきた」
『あ…ありがとうございます…』
江口「……」
『……』
拓也さんちに置いてた私物…。
それをわざわざ届けに来たってことはやっぱり……、
──別れる、のかな……
鼻の奥がツン…と痛くなって、目尻が熱くなってくる。
泣いちゃダメだと分かっていても、どんどん視界がぼやけてくる。
江口「………A」
『っ…』
やだ、聞きたくない。
別れたくない。
江口「ねえ、A、こっち向いて」
『っ、やだ…』
江口「お願い」
『ごめんなさい、私のせいでっ…本当にごめんなさい』
江口「A待って、聞いて」
『やだ、別れたくな…、っんん…！』
拓也さんの次の言葉を聞きたくなくて彼から離れようとすると、腕を掴まれ唇を塞がれる。
『ぷは、っ…拓也さ、んんッ、』
突然のキスに思わず後ずさろうとすると、腰をグッと引き寄せられてまた塞がれる。
私の大好きな、拓也さんの優しいキス。
江口「ちゅっ、ちゅ…、は…」
『っは、ぁ…』
江口「お願い、聞いて」
『…っ』
ぎゅう、と抱きしめられたまま、コクリと頷く。
あぁ、好きだなぁ…この匂い。
できるなら、ずっとこうして居たい。
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gtuysut5843…(プロフ) - 好きです最高です素晴らしい作品をありがとうございました。 (2022年7月20日 0時) (
レス) @page49 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ほの - めっちゃよかったです！！最初から3個目までぶっとおしで読みました！素敵すぎるお話ありがとうございます！！ (2022年3月28日 23時) (レス) id: 717802fa3e (このIDを非表示/違反報告)
かぬ - めっちゃ好きです…！！！文才分けてくださi(((((( やっぱ江口さんは江口さんで安心しました！！！← 素敵な作品ありがとうございました！（ぶっ続けで読んでたやつ） (2021年12月28日 15時) (レス) @page49 id: a3ef6512e0 (このIDを非表示/違反報告)
松(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！！！！！ (2021年8月15日 23時) (レス) id: 2d208b8020 (このIDを非表示/違反報告)
侑李(プロフ) - 正直三周目ですが全然飽きません！素晴らしい作品をありがとうございます！！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 22f938d982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる
| 作成日時：2020年4月22日 18時
