やめてください江口さん。 2

＊年下のあの子 04 ページ48

*江口side
・
岡本「…ってことがありましたよね」

中村「たしかにあのシーンはなかなか大変だった」

安元「ヒロインのAちゃんはどうでしたか？」

『そうですね…やっぱり今までの流れを一気に覆す話にもなったので……』


イベントも終盤に差し掛かりフリートークに華が咲いた頃、隣で話す島田さんに顔を向ける。

最初はあんなに緊張していた彼女も、 時間が経つにつれイベントを楽しんでいるのが伝わってきて俺も周りのみんなもホッとする。

このまま無事にイベントが終了すればひと段落だ。


……と思った矢先。


『…だから、演じてる上では…え？なん…っ』

「かわいい…かわいいAちゃん…」


急にステージ上に上って真っ先に島田さんの方へ向かう男性ファンに司会の安元さんを始め周りのキャスト陣が一斉に動く。

隣に座ってた俺は反射的に自分の椅子から立ち上がり、彼女の手を引いて自分の後ろへ隠した。


「お前っ…！俺のAちゃんに触るな！」

木村「はいはいお兄さん落ち着こうね〜」

安元「スタッフ早く警備員呼んで」

中村「お兄さん気持ちは分かるけどさ」


良平さんたちが興奮する男性ファンを宥めている間に警備員の人達が来て、そのまま外へ連れて行く。

後ろで俺の服をギュッと掴んでる島田さんに目を向け「大丈夫？」と声をかけると、ハッとしたように俺の服から手を離した。


『す、すいません…大丈夫です』

岡本「ビックリしたね」

安元「1回休憩とる？」

『いえ！お客さんに申し訳ないので続けましょう！そりゃ私だって中村さんが目の前に居たら飛び込んで今日の下着の色とか聞きたいですよ！』

木村「先輩にセクハラやめろ」

中村「ちなみに今日のパンツは、」

安元「いや、中村も答えんでいい(笑)」

会場〔 爆笑〕


どよめいていた会場が島田さんの変態発言でパッと明るくなる。

普通だったら怖くて一旦止めるのに、お客さんのことを考えて機転を利かせるこの子は本当にすごい。

その後はさっきまでの明るさが会場に戻り、イベントは無事楽しく終わった。


安元「Aちゃんのおかげで会場の雰囲気戻って助かったわ」

江口「ほんとですね」

中村「まぁどうなることかと思ったけど」

木村「無事に終われてよかったー」

岡本「ですねぇ…って、肝心のヒロインは？」

木村「あぁ、トイレ行ってくるって」

江口「トイレ……」


なんだろう……


さっき俺の服を握りしめてた姿が頭から離れない。


*

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