やめてください江口さん。 2

＊87 初めて ページ40

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『あ、のっ……おふろ、せめてお風呂に入ってから…！』

江口「だめ、むり、待てない」

『そんなっ……んっ、んん…ッ』

江口「ん、…っは…」


触れるだけのキスを何度も角度を変えて繰り返しながら、ベッドにゆっくり押し倒される。


心臓が飛び出てしまいそうなくらい鳴ってるのがわかる。

瞼を震わせながら目を開けると、まるで肉食獣のように熱の籠った江口さんの瞳と目が合う。


あ…………食べられる


と直感で思ってしまった。



江口「…舌、出して。べーって」

『し、た…？』


戸惑いながらも舌をべ、と出すと、江口さんが私の舌だけを口に招き入れる。

はむ、と食べるように舌を嬲り、ジュッと強く吸われる。


『へぁ…、ぁう…』

江口「…は、ぁ…」


背中に甘い痺れが駆け抜け、ボーッとして頭が回らない。

すると、スルリと江口さんの大きな手が肌に直接触れたのが分かる。



『へっ……ボタン、いつの間に…？』

江口「ん？キスしてるときに全部外したの」

『え、うそ…全然気づかなかった…』

江口「いひひ、Aはずーっとキスに夢中だったからね」


そう言って悪戯っぽく笑う江口さん。


私は心臓がおかしいくらいいっぱいいっぱいなのに、江口さんは、なんだか……


江口「…なに、なんで膨れてんの？」

『………慣れてて、むかつく』

江口「なんでよ。別に慣れてるわけじゃ…」

『だって、私は……こういう経験ないから何も出来ないし…』


こんな時にも、江口さんの過去の女性のことを考えてしまう。

きっとその人は、私の知らない江口さんを知ってる。


それが悔しくて堪らない私は、なんてめんどくさい女なんだろう。



江口「……A、手、貸して」

『な、なんで…』

江口「いいから」


そう言って私の手を掴み、自分の胸元まで持っていく。



『…わ、…』


江口さんの心臓は、私と同じくらい………ううん、私よりも速く大きく脈立っている。



江口「たしかに、俺はAが初めてじゃないし、過去に付き合った人ともこういうことしたこともある」

『ッ…』

江口「でも……こんなに好きな子を抱 くのは初めて。こんなに緊張するのも、こんなに……その、興奮…してるのも……」

『っ……江口さん…』

江口「だから……ドキドキしてるの、Aだけじゃないよ」


「初めてを取っておいてくれて、ありがとう」と優しくキスを落とされる。


プツリ、と背中のホックが外れる音と共に、降ってくるキスに目を閉じた。


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